またしても次元が違う

バスティル『ワイルド・ワールド』
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ALBUM
デビュー・アルバム『バッド・ブラッド』が全英1位、さらには全世界で400万枚を超えるセールスを記録したバスティル、本作は3年ぶりの2枚目となる。デビューした時点で既にインディ・ロック臭は皆無、アリーナを前提としたどデカい空間設計の中で音を鳴らしていた彼らは、昨今のUKインディの出世コースとは全く異なる次元でエレクトロ・ポップ・ギターをやっているバンドで、本作もそんな彼らに相応しい歩みの2作目になっている。特徴は前作よりダークに寄ったことだが、ただしそのダークさはポップを忌避した結果としてのものではなく、むしろ陰影がつき、奥行きが生まれたことで、彼らの楽曲本来のスケール感にポジティヴに働いているのだ。喩えるなら本作はエレポップから脱皮し、『ヴァイオレーター』で世界制覇した時のデペッシュ・モードのような一枚なのだ。ちなみにバスティルの全ての楽曲を書いているダン・スミス(Vo)には、レディオヘッドのようなアート・フォームに憧れ、目指しながらも、気づいた時にはコールドプレイの超絶ポップ・フォームを生み出していた、クリス・マーティンにも似た才能の在り方を感じる。(粉川しの)