各地夏フェスでも披露されていたニューシングル曲“Wake up”は、10月8日公開の映画『グッドモーニングショー』主題歌。あらためて音源で聴いてみると本当にすごい曲だ。こいちゃんの雄々しいタムロールで転がり出し、まったく手垢の付いていない、しかもガツンと耳に残る鮮烈な歌メロが、ハーモニーと並走する。『Origin』でバンドとしての若い衝動をドラマティックに奪還し、バンドの姿勢や構造も見直したKANA-BOONだが、このロックな手応えはアルバムの更に先に見つけたものと言えるだろう。そして2曲目“LOSER”がまた強烈で、黒煙を巻き上げるようなゴリッゴリのギターリフが轟き、《才能無い能無し/掃いて捨てるほど蔓延るミュージック/最高以外用無し/泣いてすがっても下がってくランク》と自分たちを全力で追い込むような緊迫感の歌が迸る。めしだのファンキーな反骨ベースプレイが異様な熱量で見せ場を作っているのも見事。個々のプレイヤーとしてのレベルアップが、楽曲のレベルアップに直結しているシングルなのである。やけっぱち気味の弾け方が楽しい“Weekend”も必聴だ。(小池宏和)