3曲4バージョン入りミニアルバム。1stアルバム『D.A.N.』での葛西敏彦に代わり、レコーディングエンジニアは半野喜弘、大橋トリオなどを手がけた早乙女正雄、ミックスエンジニアはサカナクションでも知られる電子音楽家AOKI takamasaに交代している。

『D.A.N.』は、繊細で官能的な歌もの作品であると同時に、デリケートな音の出し入れや差し引き、ほんのちょっとしたニュアンスやテクスチャーの細かい使い分けなど、膨大なディテールへのこどわりを積み重ね構成することで作り上げた驚くべき音響アートでもあった。本作はそうしたD.A.N.ならではの良さを残しつつ、エンジニアの顔ぶれからも想像できるようによりエレクトロニックで歯切れのいい、硬質な音作りに変化。甘いメロディとクールな音色とダイナミックに展開していくグルーヴが素晴らしい“SSWB”、狂おしいほどダークで美しい“Shadows”、ミステリアスで幻想的な“Tempest”、酩酊したようなミニマリズムが不穏な“Tempest”のセルフリミックスと、研ぎ澄まされたトラックが並ぶ。快楽度100％の傑作。（小野島大）