才気煥発

ローレル・ヘイロー『ダスト』
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ローレル・ヘイロー ダスト
ポスト・ダブステップ的なエレクトロニカからよりフロア・コンシャスなテクノに大きく接近した前作『チャンス・オブ・レイン』が高い評価を受けたローレルの4年ぶり3作目。今作までの間にミニ・アルバム『イン・シチュー』をリリースしているが、『チャンス〜』からさらに音数を削ぎ落とした、徹底してミニマルでストイックでアブストラクトな変則テクノを展開していた。

そして今作は『イン・シチュー』の路線からさらに一歩進んだエクスペリメンタル電子音響だ。デビュー・アルバム『クァランティン』(2012年)以来、久々に自らボーカルをとっているが、ただの歌モノではもちろんない。決して巧いというボーカルではないが、自分の声を素材として使いきることで、きわめてユニークなサンプリング・カットアップ・コラージュとなっている。しかも過去の作品にはなかった、ゆったりとしたメロウネスを取り入れることで、これまで以上に受け手に訴えるポップ・アートとなっているのだ。そのぶん明快なテクノ・アルバムとしての魅力は薄れたが、このアルバムは彼女の評価をこれまで以上に高めると思う。 (小野島大)
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