《時の権力に反抗しろ》とニールらしいアジテートが炸裂したシングル“Children of Destiny”が出た時から予想されていたアルバム・リリースだが、内容は想像をはるかに超える充実したもの。アルバムを貫くポイントは三つ。アメリカではヴィジターであるカナディアンの自分にとりいまのアメリカがどんな状況なのか、どうあって欲しいのか。そして訴え続ける地球環境への憂慮。三つ目が自身の年齢で、それらから自然に染み出てきたナンバーが並ぶ。
アメリカに向かって《もう充分偉大なんだ、ファシストも壁もいらないよ》と訴える“Already Great”に始まり、《地球は牧師のいない教会のようなもの》《鐘はそのまま鳴らしておく》と歌われる最後の“Forever”(ベスト・トラック)まで、どれも渾身の歌が詰まっている。また、本誌が出る同日、ついに高音質ストリーミング・アーカイヴもオープンと、まだまだ炎は燃えたぎっている。(大鷹俊一)