次男が考えたという、歴代すべての特徴を併せ持つウルトラマン。その素晴らしくも微笑ましいくだりは、昨年にオザケンのツイートで目の当たりにしていたけれど、まさかそのテーマが新曲になるとは。3ヶ月連続配信シングルの第1弾“ウルトラマン・ゼンブ”。タイトルは円谷プロのお墨付きである。レトロなドラムマシンの音色を用いたトラックは、豊かに膨らみゆく多重コーラスを纏って、時空のトンネルを掻い潜るようにしながら現代的なポップミュージックの響きへと到達する。経験や感情や必殺技が、世代を超えてすべて手渡されるのである。だから君は決定的に新しく、最強だ。この歌はそう告げている。可愛らしくも前衛的なMVはOzawa Kenji Graphic Bandによって制作され、“痛快ウキウキ通り”を思い出させるシーンも織り込まれているが、《この地点から　放つ必殺光線は／とどくかな？》という最終センテンスを歌い切った悩める父に子が告げる「とどく」の一言が泣ける。新しい世代に勇気をもらって、我々も行こう。カラータイマーはピンチの知らせじゃない。渾身の力を見せつける合図だぜ。（小池宏和）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より