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全13曲から醸し出される、強い意志を感じるのにどこか捉えどころがないミステリアスなムード。本人のプリミティブな心情、それを彼とともに音でもって丁寧に汲み上げる仲間たちとの信頼関係、豪華作家陣ならではの視点で切り取る彼の纏う空気、それらが乱反射してひとつの光を作り出す、現実と幻想が融合するアート性の高い作品が完成した。3rdオリジナルアルバムは、『クワイエットジャーニー - EP』で提示した日常感に加え、内省的な楽曲も多い。菅田がソングライティングに関わる新曲は、軽やかでディープなサウンドデザインや、目の前に広がる景色に思いを馳せるような浮遊感のあるミドルナンバーなどが印象的で、彼の心の奥底で湧き上がる鋭い感性に直接触れるような感覚に陥る。それらを実現できるのは、音とボーカルが互いを高め合っているからに他ならない。中でも涙を拭う仕草のように優しく柔らかい“もののあはれ”のファルセットは、あなたの感傷に穏やかなぬくもりを灯してくれるはすだ。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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