「人生キャンセル界隈」に捧げられた共感の歌

やみの おねえさん『きょういくばんぐみのテーマ』
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MVに寄せられた1万近いコメントを一つひとつ読みながら、この曲は時代に寄り添う共感の歌なのだと思った。《うまくいかない》気持ちや《いきるのつらい》人生を歌う曲はたくさんあるけれど、この歌がすごいのはその「病み」をどんな入り口にも出口にも繋げずに、淡々と描き切っているところにある。《なみだとまらない》のが《なぜか》はわからないし、「生きたい」でも「死にたい」でも「助けて」でもなく、ただただ《しあわせになりたかった》と震える声で歌う。《なんにも できない ゴミカスだ》という自己否定は時に他責思考に繋がったりもするけれど、2番では《だれもが うらやむ あのこさえも/ひとりで なやんで くびをつる》と「幸せ」は絶対評価に過ぎないという事実がえぐり出されていく。普通に生きてて、普通に生きづらい。そこにわかりやすい理由なんてない。仄暗い世相や相互監視の社会に疲れたすべての人に等しく訪れる夜明けの象徴のように、“きょういくばんぐみのテーマ”が今日も街中で鳴り響いている。(畑雄介)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)


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