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“Ginger”や“Present”に通ずる、極上のビッグバンドサウンドが全編を貫く曲……なのだが、歌詞とボーカルはそれらとは違い、いい感じにゆるっと抜けている。メロディのフロウと喋りのイントネーションがガチッとハマったメロディ。エンディング主題歌を務める『CITY THE ANIMATION』の世界に呼応するかのように漫画の吹き出しを彷彿とさせるシンプルな言葉の羅列。感動詞使いが巧みなTOMOOは、“コントラスト”には「ああ」、“あわいに”には「あ、」を持ってきていたが、今回は《あー夏が行く》。「あー」の伸ばし棒で、《君》とぼんやり過ごしたひと夏にじんわり染み込んだ「今、ここ」にある楽しさを的確に表現しているのだ。イントロがサッと始まってアウトロがぬるっと終わるのも、最後のコマでぷつっと終わってもその背後に語られないストーリーがある漫画のメタファーのよう。それは特別な人にしか見せない顔がある私たちとの相似形でもあって、だからこそ《やっかい!でも楽しい》し、《君は君がいい!》のだ。(畑雄介)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
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