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もう「どうすれば前を向けるか」とか、「ネガティブも受け入れて生きる」とか、悠長なことを言っている時間は1秒もない。次々と襲ってくる負の感情をものすごいスピードで吐き散らしていかなければ、あっという間に心が闇に支配されて動けなくなってしまう。だからまふまふはフルスピードで叫ぶ。叫び続ける。とにかく音で埋めなければ、身体中に毒が回ってしまうのではないかと思わされるほどだ。そんな切迫感の嵐のような歌。これまでもまふまふは救われようのない思いを歌にしてきた。それはギリギリのところで響く希望だった。しかし今作は死神に縋るほどの絶望感。この絶望に最後の最後、水際で抗うためにはこのスピード感と隙のない音像が必要なのだ。そういう歌である。だからとても苦しいが、この楽曲が最後までフルスロットルで駆け抜けるのを聴き終えたとき、少しだけ、ほんの少しだけ、心が晴れるような気がする。この緻密なサウンドプロダクトとまふまふの歌唱はやはりひとつの「希望」だと言いたい。（杉浦美恵）（『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より）
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