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KREVAが「ここに集まってくれている皆さんですから、俺のスキルのことはわかっていると思うんですけど、堪能してもらいました」と述べる通り、“No Limit”~“基準”~“TradeMark”とハードな楽曲を固めて畳みかける幕開けには無条件に興奮するし、そこから“TradeMark”のリリックでも引用されているソロインディーデビュー曲“希望の炎”に繋ぐ流れは何度味わっても感動的だ。『Project K』は「なんでもできる」状態にあるKREVAがソロ20周年の節目にあえてストイックに「ラップそのもの」に向き合うことで新たなフロウを獲得した傑作であったが、そのモードを引き継ぐようにこのツアーも演出やMCは最小限に抑えられ、約90分にわたり最高級のラップが放たれ続ける構成となっている。もちろん、後半にはしっかりメロウなアンセムが差し込まれる点も隙がない。KREVAはまとまりの良さと流れの良さを理由に『Project K』をこれまでの作品の中で最も聴いているのだというが、その長所はそのまま本作にも当てはめることができそうだ。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より)
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