英語と日本語を区別なしにガンガン交ぜていくフロウの並外れたファンクネス。ラップとメロディを自由自在に繋げる、ソウルフルなボーカルの「歌ってる感」。最近、新世代の活躍が本当に目覚しいジャパニーズ・ヒップホップ界でも、ここまでキャラとスキルを兼ね備えたMCは少ないだろう。その個性を買われて、これまでDABOやマボロシといったベテラン勢から若手まで、多くの曲に客演してきたTARO SOUL待望のメジャーデビュー作がこれである。韻踏合組合とのマイクリレー曲“ガッデム”を除けば、緩急おりまぜた「オレってこんなヤツ」を正面からたっぷり聴かせる全6曲。やんちゃ坊主みたいなルックスもそうだけど、全体にみなぎるポジティブ感と、声やフロウの「黒さ」のバランスがすごくいい。しかも、アンダーグラウンドな日本語ヒップホップへの愛情をにじませながら、自分では不良っぽさを1ミリも気取らないこのスタンス。ポップとハードコアの間の壁が、このジャンルはどうにも他より高い気がしていたけれど、彼ならそれをブチ破る、何かデカくて新しくてカッコいいことをしてくれるんじゃないか。そんな期待をビンビン感じる大型新人だ。目を離すな!(松村耕太朗)