もう一度勝ちにきた

ホワイト・ライズ『リチュアル』
2011年01月19日発売
ALBUM
ホワイト・ライズのデビュー・アルバムがチャートの1位を獲ったことは、アンダーグラウンドでのいわゆるダーク・ウェイヴやネオ・ゴスと呼ばれていた動きが孕んでいたある種の「嘘」を暴いてしまったところがあって、それが衝撃的だった。要するに閉じた世界観を構築することと音楽的に閉じていくことは必ずしも一致しないということである。ホワイト・ライズの前作が描いた世界観は決して喉ごしのいいものではなかったが、それをきっちりポップなロックとして提示することは可能だし、実際にそれができたところに、彼らの強みと勝因があった。ストイックな雰囲気をもちながら、デカいステージでやりたい、大きくなりたいという野心があったのだ。そんなホワイト・ライズによるセカンドは、そんな強みと勝因を推し進めつつ、より開かれた世界にリーチしようという、すこぶるヘルシーな進歩作だ。新たに導入されたエレクトロニック・サウンドはまだ板に付いていない感じもあるが、そのおかげでサウンドの描き出す風景ががらっと明るく、風通しのいいものになっている。その変化はジャケや最新のバンド写真からも窺えるだろう。(小川智宏)