クリストファーはこの新作について「僕は何も変わっていない。自分が何をすべきか僕はまだ分かっている」と語ったそうだが、前作と今作での彼は決定的に変わっている点が一つだけある。「歌うことを許されようとしている者」と「歌うことを許された者」の違いであり、本作は後者だ。ディープ・パープルとニール・ヤングの分裂症のようなロックで広い世界に絶望を放ち(“ダイ”)、かつて無かった轟音の深海で愛に彷徨っている(“ヴォミット”)。本作を聴き始めた直後に、これを聴きながらどこまでも歩いて行きたい、と感じた僕は、《これはただの歌だよ。ついておいで》と歌うクリストファーの声に戦慄した。彼はハーメルンの笛吹き男と化すのか。そうするしかないのだろう。音楽に罪はない。宗教そのものには罪がないのと同じことだ。哀しすぎる。(小池宏和)
愛という名の亡霊に取り憑かれて
ガールズ『ファーザー、サン、ホーリー・ゴースト』
2011年09月07日発売
2011年09月07日発売
ALBUM
クリストファーはこの新作について「僕は何も変わっていない。自分が何をすべきか僕はまだ分かっている」と語ったそうだが、前作と今作での彼は決定的に変わっている点が一つだけある。「歌うことを許されようとしている者」と「歌うことを許された者」の違いであり、本作は後者だ。ディープ・パープルとニール・ヤングの分裂症のようなロックで広い世界に絶望を放ち(“ダイ”)、かつて無かった轟音の深海で愛に彷徨っている(“ヴォミット”)。本作を聴き始めた直後に、これを聴きながらどこまでも歩いて行きたい、と感じた僕は、《これはただの歌だよ。ついておいで》と歌うクリストファーの声に戦慄した。彼はハーメルンの笛吹き男と化すのか。そうするしかないのだろう。音楽に罪はない。宗教そのものには罪がないのと同じことだ。哀しすぎる。(小池宏和)