リップの、これまでのシングル作品を中心に編集されたPV集DVD。つまり選曲はタイトルどおりベスト盤的な名曲揃いだし、ヒップ・ホップとして革新的なグルーヴの数々を生み出してきたリップなので、実はメンバー個々の楽曲に対する「ノリ方」を視覚的に捉えることのできるアイテムとしても重要な作品。まあ、楽曲によってはカッチリと振り付けが当てられていたり、ほとんど悪ふざけしているようにしか見えないものもあるのだが、それもまた観ていて楽しい。
　
「ジャズのスウィング感にノるときは、体を動かしたいのをグッと堪えて、奥歯でノるんだ」ということを、昔ジャズ・ファンの人に教わったことがある。最初は何を言っているのかわからなかったけれど、ニュアンスとしては「グルーヴを体から逃がさないように閉じ込める」という感じだろうか。そういうアダルトでクールな音楽の楽しみ方を、例えば“黄昏サラウンド”でのSUさんも教えてくれる。くるりとリップスライム名義の“Juice”も弾けてていいし、最近作“JACK GOES ON”もバカバカしさが突き抜けていて好きだ。あなたは？（小池宏和）