グレアム、爆発!

グレアム・コクソン『エー・アンド・イー』
2012年04月11日発売
ALBUM
オープニングからいきなりギターが歪みまくるガレージ・ロックである。と思ったら激重なドラムマシーンに乗ってモノトーンな念仏ヴォーカルが延々ループしていく暗黒クラフトワークみたいなナンバーが始まり、それが終わるとすかさずノイズ・ギターでコーティングされつつもまごうことなきエレクトロ・ナンバーに移り変わっていく。かと思えば、「むしろこれってゴリラズの範疇なんじゃないですか」みたいなコズミック・ファンク(あくまでラフ・スケッチですが)、豪華なホーンが鳴り響くゴスペル・ブルースみたいなナンバーまである。凄い。なんだかもう、グレアムの才気が爆発しすぎて恐いくらいだ。アコースティック・アルバムだった前作『ザ・スピニング・トップ』との対比も凄まじいが、ソロ8作目にしてこんなにもやりたいことを躊躇なくやりきったスリリングなアルバムを彼が作った、いや作りたいと思えたことが何より感慨深い。彼をこの少年みたいな熱意渦巻く表現へと駆り立てたもの、トリガーはやはり、一連のブラーの活動だったんだろうか。ソロとブラーを両輪にするだろう2012年のグレアムが眩し過ぎます。(粉川しの)