『127時間』の神懸りのラストで“フェスティバル”が流れたり、『ヒックとドラゴン』の主題歌をヨンシーが書き下ろしたり、『借りぐらしのアリエッティ』のアメリカ版トレイラーに、劇中では使われていないヨンシーの“アラウンド・アス”がなぜか採用されたり、日本映画『宇宙兄弟』でも “ホッピポッラ”が挿入歌だったり、ここ数年、やたらと映画とシガー・ロス/ヨンシーの繋がりが目に付く。そのアトモスフィアリックなサウンドスケープを考えると、映像作家たちがその音楽を使いたくなるのには深く頷けるのだが、初めてそれを実現したのが、『ヴァニラ・スカイ』で早くもシガー・ロスの曲を演出に使ったキャメロン・クロウ。そこから始まった幸福な関係は、この度、彼の最新作のサントラという形で結実した。シガー・ロスのドキュメンタリー『Heima(故郷)』に触発された新作映画『幸せのキセキ』のスコアをヨンシーが手掛けているのだ。ということでヨンシー初の映画音楽が収録されている本作だが、クロウ映画らしい“青さ”が漂う曲群は、キャラクター・オブ・ザ・マンスで紹介しているシガー・ロス新作に繋がる前哨戦として絶対に聴くべきだ。(内田亮)