前作『ハウス・オブ・ゴールド・アンド・ボーンズ』のパート2にして完結編となる、コンセプト・アルバムが完成。2枚を通して、人生の岐路に立つ男の葛藤を描いたというアルバムであり、パート1の前作では、ヘヴィでアグレッシヴなサウンドで、焦燥感や疲労、迷いといった心模様を高いテンションで放出していたが、今作はよりドラマに富んだ内容になっている。フロントマン、コリィ・テイラーのエモーショナルで力強いヴォーカルと、メロディアスで、テクニカルかつ創造性の高いギター・アンサンブル、グッと重みのあるリズムとで、じっくりと情感を描きあげていく、筆圧の強さを感じる。激音、轟音といえるもので唸らせるものでなく、気持ちが変わり、景色が変わっていくグラデーションを音へと落とし込んだものだ。生き方や生きる姿勢という観念的なものを、とてもドラマティックに、大きなスケールで2作に封じ込めている。今作はコミック化もされるほか、昨年は残念ながら実現しなかった来日公演が、今年初の日本開催となるオズフェストで実現(コリィはスリップノットでも出演)となにやら祭りのはじまる予感。(吉羽さおり)