ノイズとメロディが反響するとき

Plastic Tree『echo』
2014年03月05日発売
ALBUM
実はミニアルバムという形態でのリリースは、バンド初となる。今年結成20周年を迎えるPlastic Treeの果敢なトライアルと捉えることもできるが、その一方で作品そのものは、非常にストレートで王道な仕上がりとなっているのだ。

仮に彼らのロックを因数分解してみるなら、僕はノイズ、メロディ、ノスタルジーという3つのエッセンスを抽出することができると思う。今作『echo』に収録された全7曲は、これらの要素が、バランス良く配置されているのだが、メロディの輪郭が非常にはっきりしているという点で、とても間口が広い作品。中でもナカヤマ作曲の“輪舞”と有村作曲の“影絵”の2曲は、タイプは異なれど、Plastic Treeのポップサイドを端的に表現している。前者はダンサブルなビートナンバー、後者は鍵盤が入ったミディアムバラード。黒でもなければ白でもない、まさにグレーな境界で生まれるラジカルさが彼らの魅力でもあるのだが、この2曲で披露される素晴らしいメロディも、Plastic Treeの真骨頂だと思う。ロックバンドとしての彼らは、今最も充実しているのかもしれない。(徳山弘基)