【インタビュー】まっすぐに「生きるとは」を歌い続けるBray meが「さあ行こう」と声を上げる新作『JUST』をメンバー全員で語る

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結局はそうなんだよな、と頷き、力になる言葉。心を突き動かしてくれるメロディ。ロックバンドとして言うべきことを言い、鳴らすべき音を鳴らすBray meがフルアルバムとしては約2年ぶりとなる2ndフルアルバム『JUST』を完成させた。その佇まいからは頼もしさしか感じないが、冒頭を飾る“GO”が《たくさん迷って悩んできた》という一節から始まるように、すべてが順調というわけでない。ただ、決して折れることなく、ラウドロックの猛者が集う「DEAD POP FESTiVAL」でも大きな支持を勝ち得たように、まっすぐに歩きながらその取り巻く輪をどんどん大きくしてる。そんな彼女たちがやりたいことを突き詰めた『JUST』はまさしく今の充実度を見せつける一枚だ。当然の迷いも吐露しながら、「もっともっと自分自身にフォーカスを当てていい」、「そのままで生き抜いてやれ」、そう呼びかけてくれる曲たちにきっと必ずや明日への活力をもらえることだろう。

インタビュー=ヤコウリュウジ


『DUH』が17年分を詰め込んだって考えると、いろんなモノが削ぎ落とされた作品にもなったのかな(ありさ)

──先日のライブ(「Bray me pre. “FROM GOOD MORNING TO GOOD NIGHT.13”」 )を観たとき、ちょっと雰囲気が変わったと感じたんです。端的に言えば明るくなったというか。より自然体でやれている印象を受けました。

こたに(Vo・G) 自分たち的にはそういう感覚があんまりないんですけど、そう言っていただくことは増えましたね。

SAKKO(B) 以前より、お客さんとのキャッチボールを意識するようになったのが表情とかにも出て、明るくなったのかな。

──実際、Bray meって明るいじゃないですか、普段。

こたに 明るいのかな?(笑)

イトウアンリ(G) でも、よくそう言われます(笑)。どのライブでもそうなんですけど、お客さんも自分たちもその日限りなので、それをすごく大事にしてるからこそ、表情や演奏にもそういう気持ちが表れているのかなとは思いますね。

──なるほど。そして2ndフルアルバム『JUST』が完成しました。1枚目のフルアルバムはこれまでを詰め込んで作ることが多いですけど、そこから数年のスパンで2枚目のフルアルバムを作るにあたって、どういう意味合いをもたせるのか、いろんな選択肢があったと思うんです。

SAKKO 年間を通して数曲ずつ録っていったんですけど、毎回4人がやりたいことをとにかく1曲1曲に詰め込んでいきました。

──何かしらのビジョンへ近づけるんじゃなく、やりたいことを積み上げていったような感覚でしたか?

こたに そうですね。それこそ最初は、(1stフルアルバムの)『DUH』はめっちゃいいものだったので、そこを越したいという気持ちがあったんです。でも、マネージャーから「越そうと思ってると越せないから」と言われて。その言葉があったお陰で、自分たちの好き、楽しい、ワクワクする、をいちばんに優先して作れたのかなと思ってます。


──サウンド的なところでは広げてきた枝葉が幹になり、メッセージ的には自分らしく生き抜いていこうと呼びかけるモノがギュッと詰め込まれていて。コンセプチュアルに作られたものかと思いました。

こたに 本当にやりたいことを詰め込んだ結果こうなったって感じでしたね。

アンリ 4曲ずつぐらい録っていったんですけど、曲ができていくにつれて「これが集まったら最強じゃない?」ってなりました。

ありさ(Dr) シンプルにワクワクするものを目指して作ったので、いいモノができたなと。『DUH』が(結成から数えて)17年分を詰め込んだって考えると、いろんなモノが削ぎ落とされた作品になったのかな。Bray meとしての強さが出ている作品になったとすごく思ってます。


──今はできるだけ沢山の人が頷けそうなことを歌うバンドが多い中、Bray meは“夜明けの先に”で歌ってることがまさにそうですけど、一般的な風潮に押し潰されそうなマイノリティと共鳴しようとしてるなって改めて感じました。売れることだけ考えると、いわゆる恋愛ソングを歌えばいいのにとも思ったりもするんですけど。

こたに いや〜歌えないんですよ、それが。私じゃなくてもいいじゃんって思っちゃう。でも“夜明けの先に”は今まででいちばん尖ってるかもしれないですね。

自分が得意なことを突き詰めるのもいいと思うんですけど、もっといっぱい自分を構築したいと考えたときに、まだまだ足りないことばかりだなって(アンリ)

──SNS社会は共感が可視化されますが、《正義のヒーロー 正しさに怯えてるよ》に続く《誰もみんなお前に憧れてるって思うなよ》は結構なパンチラインですね。

こたに 思ったんでしょうね、本当に。なんでバンド始めたのかを考えたとき、勿論かっこいいからっていうのもあるんですけど、一般社会からちょっと外れたような人たちが思ってることが自分にも重なってたからだと思い出して。なのでその想いをそのまま書きましたね。


──メンバーからしても、この曲は尖ってる感覚はあります?

SAKKO すべてにおいてそうなんですけど、なんかこたにだなって。それがかっこよさだと思ってるし。だから……こたにが尖ってるのかな?(笑)

──作詞・作曲を手掛けるこたにさんはどんな人ですか?

ありさ とっても繊細な人だと思いますね。見た目の印象はあまりそう見えないかもですけど(笑)。迷いとかなさそうって思われがちだろうし。たとえば、光と影があって、キラキラしてる人たちが光だとしたら、自分は影寄りだなと思うんです。だけど、そういう影にいる人たちにも刺さるんですよね。うずくまってる人たちの手を引っ張るわけじゃなく、差し伸べてくれるというか。大丈夫だと言ってくれる曲が多いので。

──こたにさんはいわゆる恋愛ソングも書いてみたいのか。それとも今のBray meで歌ってるようなことを書きたいのか、どっちですか?

こたに それは圧倒的に後者ですね。ただ恋愛ソングを絶対に歌わないとか、そういうことでもなくて、歌いたいと思ったことを歌うっていう。それこそ、恋愛から学んだ感情を何かとリンクさせて歌うとかは全然ありますから。

──今回、いろんなアプローチの曲がありますが、「さあ、行こう!」と声を上げる“GO”はオープニングナンバーにしたいイメージが最初からあったんですか?

こたに デモからレコーディングする曲を選ぶ段階で「これが1曲目かな」みたいなイメージはありましたね。

アンリ それで曲の頭にギターを入れたんだよね?

こたに そうそう。この《たくさん迷って悩んできた》で始まる2ndフルアルバム、かっこよくね?みたいになって、その言葉が入ってきやすいようにギターをつけていきました。

──ギターはイントロからそそる感じがありつつ、中盤ではド派手なソロも炸裂してます。

SAKKO 謎パートですね(笑)。

こたに もう、意味わかんないっすよね(笑)。

──ギターソロって、Bray meの見せ場のひとつではあると思うんですけど、こんなアプローチのソロって今まであったかな?と思ったりもして。

アンリ 最近練習してた基礎練のフレーズを入れただけなんですけど(笑)。レコーディングではこれまでできなかったことに挑戦したいとずっと思っていて。自分が得意なことを突き詰めるのもいいと思うんですけど、もっといっぱい自分を構築したいと考えたときに、まだまだ足りないことばかりだなって。


結構ハチャメチャなことをやってるんですけど、しっかりかっこいいに落とし込めてるのにグッときた(SAKKO)

──ギターでいうと“Remember my town”も見せ場が多いですよね。

こたに かっこいいですよね。

──変わりゆく故郷に想いを馳せながら、でも私は私、あなたもあなたのままで、と願うミドルバラードですけど、1サビ前や中盤、回想と現実を切り替えるスイッチみたくギターが存在してて、凡庸な仕上がりになってないな、と。

こたに それは嬉しいです。そういったところ含め、今回はいろんなポイントがありますからね。

──印象的なフレーズやプレイを挙げるとすると?

アンリ それはちょっと……悩んじゃうな(笑)。

一同 ハハハハ(笑)。

アンリ たとえば、“Remember my town”の《私のままさ》の声とかすごくいいなって。「ここの歌い方ヤバっ!」みたいなのは要所要所でありました。

ありさ 具体的なポイントではないんですけど、最後の“PLAY”はなんか個が強い感じがしてて。

こたに そうだね。

ありさ 4人それぞれが音楽からもらったものが込められた曲だなってすごく思います。

──音楽の原体験を振り返りながら、今も変わらぬ想いがあると歌う曲ですね。

こたに 自分が音楽を聴く理由だったり、今音楽というもの自体に対して書いたらどうなるんだろうなって考えたんですよね。

SAKKO 私もこの“PLAY”はあまりにも4人がギュッと詰まりすぎてて、めちゃくちゃかっこいいなと思いました。「これを今やるバンド、ウチら以外にいるかな?」って思うぐらい、結構ハチャメチャなことをやってるんですけど、しっかりかっこいいに落とし込めてるのにグッときたというか。スタジオで合わせたときもめっちゃ高揚感があったんですよ。


──おっしゃったように、サウンド的には一筋縄ではいかないというか。我が強いフレーズが満載で、途中にはラップパートみたいなのもあるし、ストレートなロックナンバーではないからこそ「こうくるのか!」みたいな驚きもありました。

こたに たぶん、サウンド的にハチャメチャにやったのが『JUST』を象徴してる気がしてて。自分たちの想いとして、いちばん王道と言えるのが“PLAY”かな、というところで最後を締めくくっていただきましたね。

──また、前向きな曲が多い中“シンガソング”は悩みを抱え、迷いを吐露してます。こういう曲があるからこそ作品が噓臭くないというか。そりゃそうだよねっていう部分がちゃんと見えるのもいいですよね。

こたに Bray meは「生きるということは」っていうところをずっと歌ってるんですけど、悩んだり泣いたりするのも当たり前だよねっていうことを表現している曲ですね。

──終盤にあるクラップとコーラスは最初から想定してたんですか?

アンリ めっちゃありました。

こたに デモを(メンバーに)送るときにはもう入れてた気がします。

──これ、高揚感もあってすごくハマってるなと思ってて。

こたに それは嬉しいっす。こういう曲は悲しいメロディやテンポでっていうのもできるし、そのほうが感動を誘いやすいと思うんですけど、そうじゃないなって。

──ライブではお客さんが手も声も合わせて、重荷をみんなで分かち合える雰囲気が出そうですよね。ビートが速いわけじゃないけど、すごくライブチューンだなって。

こたに 特にこの曲は音自体もそんなに整えなかったですね。

──そこから続く“君の唄”もコーラスでいいムードが生まれそうです。

こたに “君の唄”は10年以上前からあった曲で。一応再録って形なんですけど、(収録した作品は)流通を通してなかったんですよ。それでここに入れたいなって。でもアレンジは結構大変でしたね。

アンリ BPMも変えたよね?

こたに 変えた変えた。元々あった(アレンジへの)固定概念が強くて。

──Bray meというバンドが存在する意味を語ってる曲ですよね。

こたに 確かにそうですね。


ありがたいことにこうやって続けさせてもらって、続けたいという意志もちゃんとあるし、希望も見えた(こたに)

──様々な曲がまた生まれ、ライブにも幅が出そうな予感がしますが、Bray meはガールズロックバンドや女性ボーカルバンドだけではなく、ゴリゴリのメロディックパンクバンドとも対バンしたりと、かなり多彩ですよね。以前「いろんなバンドと勝負できるようになりたい」とお話ししていましたが、まさにそれを体現していると感じます。

こたに ホントにそうですよね。「DEAD POP FESTiVAL」とかも本当にそうだったなと思うし。2025年はいわゆる野外の夏フェスに初めて出させてもらったんですけど、それがDEAD POPとLuckyFesで。

──出演アーティストを見ると、かなり毛色の違うフェスですよね。

こたに そうやっていろんなバンドとも音楽っていう点で繋がれてるのかな、と。

SAKKO ジャンルっていうより、自分たちがかっこいいと思った人たちと一緒にやりたいというのが大きいと思ってて。それこそ初めてアイドルと対バンしたとき、最初は可愛いイメージが強かったんですけど、いざ対バンしてみたらめっちゃかっこよくて。そういった固定概念が壊されたりするので、貴重な機会だなって思います。

──そこで受ける刺激も多そうですね。

ありさ 当たり前のことかもしれないんですけど、自分以外の人は自分にないモノを絶対に持ってるし。その中で自分が何を選んで吸収していくのか、という感覚がより研ぎ澄まされていきそうです。


──2月からはリリースツアーも始まります。

ありさ やっぱり、ライブをやることで曲も育っていくと思うので、これからどういうふうに育っていくのか楽しみですね。

──そういった予感が特に強い曲を挙げるならば?

ありさ 『JUST』は一曲一曲のドヤ感がすごいなって思ってるんですけど(笑)、“GO”とか“夜明けの先に”は楽しみではありますね。どこまでもいけそうな気がしてて。

──『DUH』が完成してツアーを回ったことがひとつの区切りになり、そこからどうするのかとなったときに生まれたのが『START』と『READY』というEPだった、という話もあったじゃないですか。今回もツアーを終えた結果、何かの起点になるような部分は感じましたか?

こたに ちょっと何か……どうなっちゃうんですか?(笑)

一同 ハハハハ(笑)。

こたに でも、そういうのを繰り返していくのかな、って。『DUH』や『START』、『READY』のときも「もう何もできんかもしれん」ってなったけど、ありがたいことにこうやって続けさせてもらって、続けたいという意志もちゃんとあるし、希望も少しずつ見えたので。『JUST』のツアー終わりで何を感じるか楽しみですね。なるべくひとりでも多くの人にBray meの音楽を届けられるように走っていきたいと思ってます。


Bray meのインタビューは12月27日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』2月号にも掲載中!

●リリース情報

『JUST』

発売中


●ツアー情報

「Bray me TOUR 2026 “JUST GO”」



提供:Happinet Music / KURAMAE RECORDS / NottDagr
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部