●セットリスト
1.IN THE NAME OF
2.Distortion
3.ギミチョコ!!
4.新曲
5.紅月-アカツキ-
6.Starlight(新曲)
7. META!メタ太郎
8.メギツネ
9.KARATE
10.Road of Resistance
11.THE ONE - Piano ver -
METAL RESISTANCE第7章の幕開けとともに、今年5月のアメリカ公演を皮切りにDARK SIDEの勇者たち「THE CHOSEN SEVEN」による日本公演「BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN」が開催。その追加公演として、BABYMETAL主催初のフェス「DARK NIGHT CARNIVAL」が海外勢2組を交えて行われた。しかし、今ツアーが始まる前に昨年12月から体調不良で欠席していたYUIMETAL脱退という衝撃のニュースが流れ、この日も期待と不安が交差する中でライブに足を運んだ人も多かったに違いない。
会場に足を踏み入れると、アリーナ、スタンド共に隅々までビッシリと観客で埋め尽くされる中、トップを切ったのはギャラクティック・エンパイアだ。彼らは映画『スター・ウォーズ』のメインテーマをメタル調にカバーする5人組で、帝国軍の悪役姿でステージに立つ。そのパフォーマンスは卓越した演奏力を土台に誰もが耳馴染みのあるメロディやフレーズを矢継ぎ早に繰り出す。途中で寸劇を挟んだりと、インストバンドの定形に収まらないエンタメ性でも観客を沸かせた。
続くはスウェーデン発のサバトンがお目見え。戦争をモチーフにした歌詞世界を掲げ、ヘヴィメタルのサブジャンルの一つ「ウォーメタル」とも形容される彼ら。「LOUD PARK 2015」で初来日を遂げ、ここ日本でも高い人気を誇るミリタリー野郎たちだ。今回、戦車を模したドラムセットこそなかったが、シンガロングを巻き起こす親密なメタルサウンドを存分に振り撒く。特に西南戦争を歌った“Shiroyama”は大熱狂で多くの観客に受け入れられていた。
そして、SU-METAL、MOAMETALにダンサー5人を追加した7人体制(!)を敷いたBABYMETALがステージ奥から登場。神バンドがトライバルな重厚音を鳴らすインスト曲“IN THE NAME OF”で観客のボルテージを高めた後、すかさず“Distortion”に突入。目の周りを黒く塗り、「少女」から「大人」への移行を明示するダークな衣装に身を包んだSU-METALの美声が圧巻のスケールで轟く。その力強い歌唱を聴き、一抹の不安は瞬時に掻き消されてしまった。
それからBABYMETALの代名詞とも言える“ギミチョコ!! ”が始まるや悲鳴にも似た大歓声が起き、YUIMETALの歌パートを担うMOAMETALの奮闘ぶりも実に眩しい限り。新曲を挟んだ後、SU-METALのソロ曲“紅月-アカツキ-”の絶唱に心を奪われつつ、次は今年10月19日に発表されたばかりの最新曲“Starlight”をここで披露。過去のどの曲と比較してもSU-METALの凛としたハイトーンは冴え渡り、また、光を求めて手を必死で伸ばすような声色の表情に思わず涙腺が緩むほど感動した。
中盤に差し掛かると、コミカルな振り付けが特徴的な“META!メタ太郎”へ。すると、曲中にギャラクティック・エンパイアのDark Vader(G)、サバトンのヨアキム・ブローデン(Vo)を呼び込み、SU-METAL、MOAMETALを含む4人が横並びに整列し、ウォーウォー!の大合唱を煽る場面は間違いなくこの日のハイライトと言っていいだろう。「メタルで世界を一つにする」METAL RESISTANCEを象徴する最高の景色だった。
ほかにSU-METALとMOAMETALが黒旗を持って現れた勇壮なメロスピ曲“Road of Resistance”も破壊力抜群だったし、最終曲“THE ONE - Piano ver -”の壮大なるアレンジにも引き込まれた。
今日のライブを観て、BABYMETALは新しい幕開けを迎え、こちらの想像を遥かに超えるアクトに成長進化していることを腹の底から痛感した。変わらないために変わり続ける、唯一無二のメタルショウがここにはあった。(荒金良介)