B-DASH presents『SERVICE 3〜CROWS×WORST〜』 @ SHIBUYA-AX

久々に復活したB-DASH企画『SERVICE』の第3弾。スコット・マーフィーと10-FEETを招いての開催である。連休明けの平日だというのに、どうだろうこの豪華アッパー・パーティ系なメンツは。あいにくの雨天となってしまったが、そんなことはお構いなしにフロアも元気のあり余ったロック・キッズでみっちり。18:45、ここから怒濤の爆音タイム3時間が繰り広げられる。

まずは一組目。流暢な日本語も手伝って、すっかり日本のロック・ファンの人気者になったスコット・マーフィーが登場だ。オープニング・ナンバーはいきなり観る者の度肝を抜く“ドラえもんのうた”パンク・カバー。盛り上がるなという方が無理な話だ。畳み掛けるように放たれるスピッツ“チェリー”のパンク・カバーで、もうクラウド・サーフがばんばん起こっている。もちろん“Things I Should’ve Said”などの大ぶりでメロディアスなオリジナルのパワー・ポップ・チューンも良いが、「日本産エバーグリーン・メロディ」を知り尽くしたかのような、スコットのカバー選曲センスが素晴らし過ぎる。…いや、選曲センスだけじゃないことは、尾崎豊“15の夜”のカバーを聴けば分かる。細やかな符割りで日本語をメロディに乗せた尾崎の歌をクリスピーに歌いこなすのは、実は日本人にとってさえ簡単なことではない。スコット恐るべし。「来月出るニュー・アルバムから、1曲やりましょう。ちょっと緊張してるけど、お手やわらかに」。と告げて新曲“What if”をプレイし始める。僕は海外ミュージシャンが日本語でMCをしたとき、その片言な感じを表現するためにカタカナで書いたりするのだけど、それやりたくないもん、スコットの場合。アリスター時代の楽曲も織り交ぜながら、ラストはTHE BOOMの名曲“島唄”で締めてくれた。切り込み隊長として最高の働きぶりだ。

さて、転換の間、ステージ上のスクリーンにはB-DASH・GONGONの弟であるSOTAの、CGアニメーションが映し出されている。TV化・DVD化もされている『ネットミラクルショッピング』だ。テレフォンショッピングのパロディである。B-DASHの映像関係でもお馴染みのセンスだけど、シュールな笑いが秀逸。

さて、次なるはドラゴンクエストIIIの壮大なエンディング・テーマをオープニングSEに堂々登場の10-FEET。ラップを絡めたアグレッシブなボーカルとギター・プレイで攻め立てるTAKUMAである。オーディエンスも雄々しいコーラスを被せ、それに応えている。“U”でブリブリともの凄いベースを弾いていたNAOKIは、昂って「シブヤー!」と吼えた。持ち時間目一杯に曲を詰め込むような展開であり、モッシュとクラウド・サーフが至る所で発生しているフロアでは、みるみる酸素濃度が低下しているのがわかる。途中TAKUMAは、ギターのチューニングをしつつマイクを通さない肉声のMCで「みんなそれぞれのやり方で楽しんで、なんか持って帰ろうや。物わかりのいい大人になったらあかんで」と率直に告げていた。メロディアスに走る“goes on”、バンドの背から当てられた強いライトが激しい演奏を更に後押しするような“super stomper”と披露し、“RIVER”のギター・イントロが響いた瞬間には、大きな歓声が沸き上がる。この名曲ではラストに歌メロを丸々オーディエンスに預けた。限られた時間の中でも多くの若いエネルギーを正面で受け止め、すかしたり誤摩化したりせずに全力で投げ返す10-FEETのコミュニケーションは素晴らしい。ラガ風のボーカルをパンキッシュな演奏に落とし込む“2%”のラストで、TAKUMAは《渋谷のみんなは〜♪ 子供のまま〜♪》と歌詞を変えて歌った。

ここで再びSOTAのCGアニメーション・タイムである。彼の作る映像は、もちろん笑えるのだけど、なんというか物理的な「巨大さ」とか「高さ」などへのリアルな恐怖に基づいた笑いであることが多くて(巨乳を振り回して様々な物を破壊するセクシーお姉さんとか、それ自体が非現実的な巨乳キャラクターへの批評になっている)、こういうのってSOTA独特のトーンで貴重だよなあ、などと感心してしまった。そうこうしているうちにスクリーン上にトニオくんが現れて「SOTAくんを呼んでみましょう!」とカウントダウンを始める。なんとリアルSOTA、登場である。自身の映像作品を紹介し、そしていよいよB-DASHを呼び込む、という演出であった。

「せっかくだから、一曲歌っていけば?」とGONGON。おお、『SERVICE』ならではのスペシャル感。兄弟ツイン・ボーカルによる“Water pow”で演奏スタートだ。SOTA、野太いシャウティング・ボーカルでなかなかカッコいい。どうしてもホンワカしてしまうGONGONの人柄とは好対照なのもおもしろいぞ。満面の笑みのSOTAは、「じゃあ、最後まで楽しんで帰ってください。あと、ダイブだけは絶対しちゃだめだからね」。言うなり、自ら最前線に飛び込んでしまうのだった。さあここからは、本来の3ピースでステージが進行してゆく。アッパーはアッパーなのだけど、10-FEETのときのようにエネルギーが次々に誘爆を起こす熱狂ではなくて、オーディエンスが伸び伸びと音を楽しみ、めいめいに弾けている感じ。やっぱり人柄ですなあ、GONGON。あと、“ハーコー”などの無軌道でアナーキーな展開を聴かせるB-DASH節が多く披露されていて、バンドのユニークさを再確認させられているようでもあった。右肩あがりにキャッチーさを増してゆくセット・リストであり、“KIDS”“野球”辺りから熱気を増してゆく。辿り着いた先は、最新シングル“カマたまご”から“平和島”“やまびこ”へと連なる、新旧入り乱れてのノスタルジックな情景喚起ソングであった。歌詞については、デビュー以来様々なトライアルを行ってきたB-DASHだが、こういう作品はもうキャリアを通じての必勝パターンと言えるだろう。

再登場した3人、ドラマーのARASEが「これ、いいでしょ。限定Tシャツ」と着替えたTシャツを見せびらかす。「え? KINGサイズ? いや、あったけど、もうないから、これやるよ」。着替えたばかりのTシャツを脱ぎ、オーディエンスに手渡してしまうのであった。アンコールで再びメロディアスに攻めると、ARASEが肉声で声を張り上げ謝辞を述べる。「今ので俺の気持ちの3割ぐらいは伝わったと思うから、残りの7割は曲で伝えます!」と、最後は“炎”に傾れ込む、B-DASHであった。(小池宏和)