7月17日(金)に新作『ボーン・イン・ザ・エコーズ』をリリースするケミカル・ブラザーズだが、最近のEDMに対して物申していて、どれも同じようにしか聴こえないと語っている。
ザ・ガーディアン紙の取材を受けたケミカルはEDMについての話題を振られると、若い人たちがダンス・ミュージックに熱を上げているのは嬉しいと語る一方、音楽性そのものについてトム・ローランズは「円グラフみたいで」没個性的だとコメントし、エド・シモンズは次のように語っている。
「最近アメリカでDJがあったんだけど、どのレコードもまるで(イタリアのDJの)ベニー・ベナッシみたいなサウンドだったんだ。なんかこう言うとさ、まるで『トップ・オブ・ザ・ポップス』みたいな歌番組を観覧しにきた親父がどれも同じ曲にしか聴こえねえってわめいているのと同じかもしれないけど、でも、本当にどれもまったく同じにしか聴こえなかったんだよ。曲の感じもひとつしかないんだ。全部、アゲアゲで祝祭的なだけ。俺たちはいろんな経験を潜っていくような感じが好きなんだけどね」
その一方でトムは次のように解説してみせている。
「この一次元的なサウンド攻勢っていうのは確かに効果はあると思うんだけど、不思議な力が働いてどこか別な場所に連れて行かれるような内容はないんだよね。でも、どうなのかなあ、ぼくが(フロリダ州)オーランドに住む18歳の男子で、期末試験が終わったばっかりだったら、そういうことも感じるのかも。わかんないけど」
これに対してエドはこれを確認するにはオーランド工業大学に入ってみるしかないと語っている。また、数多くのEDM系DJがしているように、ラスヴェガスでの定期公演を持ったらどうかという問いにトムは次のように答えている。
「本当にやりたいと思ったんだったらたぶんまだできると思うんだけど、なんかでも魂が壊れるような体験になるだろうね。あの世界は、わけのわからない古い世界だから。やっぱりぼくたちとは異質な感じがあるよね」
なお、新作にはベックが"ワイド・オープン"というトラックで客演しているが、90年代から00年代にかけてとっくにコラボレーションしていそうなカップリングだと指摘されてエドは次のように語っている。
「ベックと俺たちが組み合わさることでかなりノスタルジックなものになるんだよね。特に『オディレイ』の楽曲とかは、かなり時代精神っぽいところがあったからね。どこへ行ってもなんか耳に入ってきたもんだし、それは俺たちのレコードもまた同じだったんだよ。だから、俺たちのキャリアのこんなに遅い時期になってベックが初めて俺たちのアルバムに登場するのもなんかしっくりくるような感じがしてさ」
また、ケミカルとしての新作に向かう動機をトムは次のように説明している。
「スタジオに何か月も籠るわけはそこにあるんだよね。スピーカーで鳴っている大音量の音に圧倒されながら、かけがえのないちょっとした音を探すことにあるんだよ。今でもその感じを追っかけてるようなものなんだ。デカい音の曲を作ることなんてほんとめちゃくちゃ簡単なんだ。そんなの朝飯前でもういくらでも作れるから。でも、ぼくたちがやってるのは、ちょっと間違っちゃったんだけど、それでもやっぱりいい感じのものなんだ。なんだか変なんだけど、どうしても必要なレコードっていうものなんだよ」
なお、この新作のツアーについてエドは現在大学で進めている自身の研究を仕上げなければならないため同行しないことが明らかになっている。