ロジャー・ウォーターズ、新作とツアーはトランプへの抵抗がテーマだと語る
2017.04.25 17:30
ロジャー・ウォーターズはオリジナル・アルバムとして1992年『死滅遊戯』以来となる25年振りの新作『イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?』を6月7日にリリースする。ローリングストーン誌のインタビューで新作アルバムとツアーのコンセプトを語っている。
5月から開始されるツアーは「アス+ゼム・ツアー」と銘打たれている。これはピンク・フロイドが1973年に発表した名盤『狂気』の収録曲であり、相容れない二極対立を歌った"Us and Them"から取ったものだが、こうした「ぼくたち」対「あいつら」という対立構造こそが実は最も批判したいことだとロジャーは語っている。
去年のアメリカ大統領選挙終了後、オバマ元大統領が「自分たち」対「彼等」という発想をベースとしたショナリズムを批判したこと(「We are going to have to guard against a rise in a crude sort of nationalism or ethnic identity or tribalism that is built around an ‘us’ and a ‘them’」)に関連して、ロジャーはオバマに同意すると認め、「ぼくたち」対「あいつら」という対立構造は幻想でしかないと説明した。
そして「『俺たち(us)』『やつら(them)』なんてものはない。そんなものは幻想だ。私たちはみな人間であり、互いに助け合ったり、金や財産を全部牛耳っているごくごくわずかの人々の権力と闘う方法を見いだす責任があるんだ。」と語っている。
さらに1973年発売の『狂気』で書いていた歌詞は現在の状況への問いかけにもなっていたとロジャーは振り返っている。
「ほとんどの人が、争点はイデオロギーだと思っている。この争いは中東を巡ってのものだ、ムスリムがジハードを始めたことについて、テロリズムについてなんてみんな言う。でも違うんだ。争点は金だよ。
争点はいつも金だ。戦争はものすごく儲かるからね。」
「戦争は膨大な儲けを生み出すものなんだ。戦争では膨大な金を瞬時に使い尽くすから、とてつもない儲けも同時に生むんだよ。戦争ではいくつもの莫大な資産が作られていくものなんだ。だから、戦争はいつも促されて継続されるわけで、自分たちとは違う人たちをいつでもしっかり区別してそういう人たちに対して合法的に戦争をけしかけられるようになってるんだよ」
そうした儲けのためにトランプ大統領は莫大な資源を戦争に注ぎ込もうとしているとロジャーは指摘している。
その指摘をツアーのコンセプトとし、新作のタイトル(「これがぼくたちが本当に望んでいる人生なのか?」)もまさにそのことを言っているのだと説明した。
このタイトルは元々違う案があったようで、「もともとタイトルは『イフ・アイ・ハッド・ビーン・ゴッド(もし私が神ならば)』だった。もし私が神だったら、何が変わるだろうか、何が変わっていただろうかについて説明している。どんな人にとっても興味深い練習になるよ。もし自分が大統領だったらどうするだろう?上院・下院を牛耳ることができたらどうするだろう?何をすればもっといい状況になるだろう?ってね。」と話している。
また、トランプと同類の人間が世界中に多く存在しており、ツアーと新作を通してこうした勢力へのレジスタンスを起こしたいとも語っている。
目指すところはツアーを通して自分たちの愛をしっかり力を持った勢力として組織していくことであり、そうすることで「連中のようなナルシズム、欲望、悪意、そして他人の気持ちをなんとも思わない態度、ほかの誰とも共感しない態度」に対抗していきたい、そして「ドナルド・トランプのような反社会的な社会病質者は共感の欠如が生み出したものなんだ」と説明している。
新作『Is This the Life We Really Want?』の詳細はこちらから。