現在、北アメリカで新作『イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?』の楽曲とピンク・フロイドの楽曲の数々を披露するアス+ゼム・ツアーを敢行しているロジャー・ウォーターズだが、9月に行われるライブが自治体によって中止に追い込まれる可能性があるという。
ロジャーはこれまで度々、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区のイスラエルによる占領状態と現地での人権侵害を批判しており、アーティストのイスラエルでの活動のボイコットを呼びかけ、イスラエルに対するこうした活動を多方面に推進している団体BDS(Boycott, Divestment and Sanctions Movement/ボイコット・資本引上げ・制裁運動)とも連携しているが、これが特に問題になっているという。
ライブの会場となる、ニューヨーク郊外のロングアイランドにあるナッソーコロシアムの運営母体であるナッソー・イベント・センターに対して、ナッソー司法省はライブの中止に動かない場合には正式に法的手段に訴えると明らかにしている。
司法局の根拠は、今年に入ってBDSを支持する企業のナッソー郡内におけるあらゆる商業活動を禁止するナッソー郡の地方条例が成立したことで、「ウォーターズ氏にパフォーマンスの場を提供することで、ナッソー・イベント・センターはウォーターズ氏によるBDS思想を表現する土台も提供することになる」とライブ開催の問題点を指摘していると「ニュースデイ」紙が伝えている。
この新条例違反もあるため、ナッソー郡の行政関係者の間では今回のライブについて反対の意を表明する者も多く、ロジャーの入国ビザを取り上げるべきだと主張する強硬派もいるという。
また、ライブが行われる9月15日と16日はユダヤ暦の新年にも近いことが問題でもあるという指摘もあるが、ユダヤ教のラビのアンシェル・パールは「これはユダヤ人のコミュニティーだけでなく、すべてのコミュニティーに対して害をもたらすことなのです」とユダヤ暦が問題なのではないと説明している。
「一番よろしいのはこの人物が出てきて、オープンな形で自分がすべて間違っていたと認めることですね。そうすれば、わたしたちが和解するのに大変役に立つはずです」
なお、ロジャーのツアーは10月まで敢行される予定になっている。
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