10月21日に80年代の音源をまとめた新たなボックス・セット『ラヴィング・ジ・エイリアン [1983-1988]』がリリースされる予定のデヴィッド・ボウイ。
『ロッキング・オン』9月号では、そんなデヴィッド・ボウイが1977年~1979年にかけて発表したベルリン三部作(『ロウ』、『ヒーローズ』、『ロジャー』)を中心に、アートとロックを融合したオリジネイターとしてのボウイに焦点を当てた、60ページにおよぶ特集記事を掲載している。
特集では、イギー・ポップ、ブライアン・イーノ、トニー・ヴィスコンティらの視点も交えたドキュメント記事を紹介している。
3万字にもおよぶドキュメントは、主にベルリン時代と呼ばれる1975年から1979年の『ロジャー』まで続くボウイと、彼を取り巻く人物たちの証言で構成されている。
1976年の「ホワイト・ライト」ツアーのショウにて、ボウイは最後に冷酷なキャラクター、シン・ホワイト・デュークを演じている。
このキャラクターについてボウイは「ファシスト・タイプの人間」、「自称ロマンティストだけれど、感情という感情を微塵も持たない」と説明している。
さらに、当時のインタビューでボウイは、ファシストの反動的台頭についても以下のように語った。
一般大衆っていうのはそれほど賢くはないんだよ、分かるだろう。自由が欲しいと言いながら、いざそのチャンスを与えられると、彼らはニーチェをやり過ごしてヒトラーを選ぶんだ、だって彼が部屋に入ってきて口を開けば、音楽も照明もちゃんと計算し尽くされたタイミングで効果的に入ってくるからさ。要はロックン・ロールのコンサートみたいなものだよ。
その後、ロサンゼルスからベルリンに移住したボウイは、その時のベルリンの印象を以下のように述べている。
ベルリンは僕が本当に何年ぶりかで、生きている喜びを得た場所なんだ。そして大いなる解放と、癒される感覚だね。
あそこはパリの8倍も大きな街なんだよ、いいかい、だから『迷い込む』こともとても簡単だし、と同時に自分自身を『見つける』こともたやすいんだ。
また、特集ではベルリン三部作に『ステイション・トゥ・ステイション』、『スケアリー・モンスターズ』を加えたボウイのアート時代を象徴する5枚のオリジナル・アルバムを徹底レビュー。
さらに、「デヴィッド・ボウイの遺伝子を継ぐものたち」と題し、ボウイ同様にアートのDNAを持つ83組のアーティストたちを紹介している。
83組の中には、ジョイ・ディヴィジョン、ザ・キュアー、ビョーク、ベック、レディオヘッド、さらにはジェイムス・ブレイク、ケンドリック・ラマーといったジャンルの垣根を超えたアーティストたちを掲載。
各アーティストがどのようにアートと音楽を体現しているのかを綴ったテキストと合わせ、読み応えたっぷりの記事となっている。
2016年1月にボウイが亡くなってから早2年半。今もなお多くのアーティストに影響を与え続けているデヴィッド・ボウイ。
そんな彼のアートとロックの軌跡を追った『ロッキング・オン』9月号を、ぜひ隅々まで読み込んでほしい。
デヴィッド・ボウイの特集記事は現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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