デヴィッド・ボウイやケイト・ブッシュの師として知られる舞踏家、リンゼイ・ケンプが逝去。享年80歳


現地時間8月24日、デヴィッド・ボウイやケイト・ブッシュのパントマイムの師として知られる舞踏家のリンゼイ・ケンプが、イタリア・トスカーナ州西部のリボルノで亡くなったことが分かった。死因は明らかになっていない。

関係者がリンゼイ・ケンプのFacebookページに投稿したコメントによると、ケンプは教え子たちとリハーサルをし、ツアーの準備をしていた日に突然亡くなったとのことだ。「彼はとても幸せな日を過ごし、突然亡くなった」と発表されている。


タインサイドのサウス・シールズという町で貧しいひとり親家庭に育ち、最初は労働者クラブで踊っていたというケンプは1974年、自ら創作した『Flowers』という作品でエジンバラ・フェスティバルに参加。ジャン・ジュネ作『花のノートルダム』を元にしたこの作品が、世界的名声の始まりとなった。

1972年にデヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』のツアーで振付を担当し、出演を果たしたこともよく知られている。

「The Guardian」によると、ケンプがボウイに出会ったのは1966年とのこと。コベント・ガーデンにある自身のダンス教室に通っていた19歳のボウイと出会ったケンプは、ボウイとの短い交際を経たのち創作的な関係を続けた。

さらにケンプは、デレク・ジャーマン監督作『セバスチャン』、『ジュビリー/聖なる年』やアンソニー・シェーファーが脚本の『ウィッカーマン』など、舞台や映画にも出演。イタリアでオペラの製作も手掛けた。

また、たびたび来日も果たしており、1986年の『真夏の夜の夢』以降、『エリザベス1世』などの来日公演も多数行った。

なお、2016年の「The Guardian」のインタビューでは次のように語っていたという。

観客に魔法をかけて、自由にしてあげなければならない。そうすると、心臓手術の痛みを和らげることができるんだ。

そうやって魅惑すること、催眠術をかけることを、かなり小さい頃に身につけたよ。いじめっ子の攻撃やみんなの嘲笑を前もって防ぐために、彼らを笑わせたんだ。僕の魔法をかけたんだよ。