バンド結成50周年を記念したジャパン・ツアーを2月に開催するイエス。
『ロッキング・オン』2月号では、バンド内における様々な紆余曲折、さらに半世紀におよぶ活動を通したイエスの今について訊いた、スティーヴ・ハウへのインタビューを掲載している。
メンバーの入れ替わりが激しかったイエスにとって、特に大きな存在だったクリス・スクワイア(2015年に逝去)だが、生前の彼とのエピソードについて、ハウは以下のように語った。
そうだね、一番心に残っているのは、ほかのメンバーやスタッフが誰もいなくなって、クリスと2人だけで話し込んだ時のことだね。そんなことはめったになかったけれど、
(中略)クリスと私は相性が良くて、2人の共作した曲にはいいものが多かったからね。でも2人の間で絆を育むには、時間が足りなかった。周りにはいつもジョンとかリックとかがいて、とても落ち着いて共作できる状況ではなかったんだ。
だから、クリスの思い出も私にとっては個人的なもので、2人でどこかの会場のドレッシング・ルームで、ジョークを言っては笑い合っていた光景だね。
また、名盤として挙げられるアルバム『危機』と『こわれもの』について、制作当時からすごい作品を作っているという実感はあったのだろうか?
(中略)自分たちがいったい何をやっているのか、当時は見当もつかなかったけれど、誰も試したことがないことをやっているというのはわかっていたね。
(中略)2枚のアルバムは、リスナーにとっても受け入れやすい作品だけれど、同時に技術的にはかなり高度なことをしている。“ラウンドアバウト”のサウンドがいい例だね。
あれはエディの力があってのことだ。もちろん、演奏はできるけれど、レコードでああいう音作りをすることはエディにしかできなかった。その点はあまり評価されていないけれど、あれはステージで再現するのはほぼ不可能なんだ。
(中略)しかもイエスは、一発録りだったからね。5人のメンバー全員が同じスタジオに入って演奏するから、それぞれが奏でる音が合わさってハーモニーになっていくんだ。クイーンの“ボヘミアン・ラプソディ”みたいなものだよ。あの曲は私も好きだよ。でも、イエスも、あれと同じくらい実験的なことを試していたんだ。
さらに、イエスとして今後新しいアルバムを出す計画はあるのか、と訊くと「出るかもしれないし、出ないかもしれない」と答えた後「もし出すとしたら、とても特別なものになる」と前向きな姿勢を持っていることも明かしている。
(中略)確かに以前、私は「もうアルバムを作る気はない」と言ったことはあるよ。『危機』に劣るアルバムしか作れないなら、なぜわざわざそんなことするのか?とね。
(中略)私たちも90年代に入っていいものを数多く作ったけれど、00年前後にちょっと迷走した時期があって、そこからまた今の状況に戻った。まるで月の満ち欠けのように、
栄枯盛衰があったけれど、こうして50周年を迎えられた。これは本当に驚きだよ。今はこれだけ安定していて、クリエイティブで居続けている。
ただ、今、新しいアルバムの計画がある、と言ってしまうと、それは事実に反するね。少なくとも、数カ月以内のリリースはない。今はゆっくりしたペースで活動しているから、イエスで作品を出すならクオリティには十分に気を配るよ。
インタビューではその他にも、ハウがイエスに加入した当時のバンドの印象や、アンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウでの活動についても詳細に答えてくれている。
2月の来日公演では各日でセットが異なるなど、今回もファンを大いに楽しませてくれるであろうイエス。
半世紀に渡るバンドのこれまでとこれからを、ぜひ『ロッキング・オン』2月号にて確かめみてほしい。
イエスのスティーヴ・ハウのインタビュー記事は現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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