今のVaundyを観た!
熱狂そのもののツアー「replica」、NHKホール公演で天才が見せた奇跡、そのすべて——徹底ロングレポート!
文=小川智宏 撮影=日吉"JP"純平
1月14日、東京・J:COMホール八王子からスタートしたVaundyのワンマンツアー「replica」。2022年を紅白歌合戦出場で終え、新たなフェーズへと邁進していくVaundyの最新形を刻むホールツアーであり、今年後半にすでにスケジュールされているアリーナツアーに向けての狼煙ともなるこのツアーは、改めて現在の彼を取り巻く熱と今まさに時代の寵児としてスターダムを駆け上がっている状況を証明する、とても濃厚なものになった。ここでレポートするのはツアーの序盤、1月28日・東京NHKホールでの公演だ。この原稿を書いている時点ではまだ開催されていないツアーファイナルではまた新たな局面を迎えている可能性もあるが、ものすごいスピードで走り続けるVaundyというアーティストのドキュメントとして読んでいただければと思う。
さて、そのNHKホール。エントランス前にはVaundyのロゴを象ったオブジェがでんと鎮座し、フォトスポットとして人気を博している。会場に入るとそこには近未来的なチェアとCDケースの展示コーナー。本誌3月号の表紙巻頭インタビューでも語られていた、Vaundyの卒業制作である。デザイン画と写真を見ただけでも驚いたが、こうして実物を目にするとこの人の持っている才能の幅広さと豊かさに唖然とする。彼の他に世界のどこを探しても、このクオリティの椅子をデザインして作れてしまうミュージシャンはいないだろう。
その展示を眺めながらホール内に入ると、チケット争奪戦を制して集まったお客さんが発する異様な熱気に気圧された。実はこのツアー、筆者は初日の八王子公演も観たのだが、そこでも同じように場内には熱気が渦巻いていた。もちろんこれまでもVaundyのライブはかなり熱く盛り上がっていたのだが、その期待感が今年に入ってからさらに一段上がった感じがする。紅白の影響もあるのだろうか、「今話題のアーティスト」みたいなフワッとしたものではなく、「何がなんでも今観たいアーティスト」、もっといえば「観ておかないと損をするアーティスト」というものにVaundyがなっていることを、場内の空気が証明している。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋)
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