M.I.A.の攻撃は続く。NYタイムス記者に新曲で反論


先週ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された自身の記事への反発から、記事を書いた記者リン・ハーシュバーグの電話番号をツイッターに晒したM.I.A.だが、M.I.A.のニート・レコーディングスのHPに今度はM.I.A.の立場をより克明に綴り、ハーシュバーグへの攻撃ともなった新曲がアップロードされた。

M.I.A.はインタビューの真相をニート・レコーディングスのHPで明らかにすると予告していたが、今回取材のやりとりを録音した音源ファイルがふたつ、そしてスリランカ内戦の事情や真相を伝えるさまざまな報道記事とともに、今回の新曲もアップされた。

“I’m a Singer”というこの新曲、政治や人種差別、アメリカなどといったテーマをひっくるめてM.I.A.の立ち位置を宣告する曲となっているが、もちろん、「ジャーナリストがこれほどうすらバカなのはどうしてなの/わたしにいくらクソみたいな言いがかりをつけてもわたしは慣れてるから/わたしが自分の傷を舐めさせられる度にわたしも硬化する/わたしを弄ぼうとするのは自由だけど、わたしは引き金の音とともに見たいものを見させてもらうよ」という明らかにハーシュバーグへの痛烈なメッセージにもなっている。

また、このトラック、実はコーラスのメロも素晴らしく、ぜひ新作にも収録してもらいたいすぐれたトラック。実はハーシュバーグの記事では、M.I.A.の作品ではM.I.A.自身からの音楽的貢献はほとんどなく、M.I.A.は周囲のプロデューサーやクリエイターを巧みに利用しているだけだと描写しているところもあるだけに、この曲はそれだけでこんなトラックが作れると思うのかという反論にもなっている。音源はこちらから(→http://neetrecordings.com/blog/

さらに、ハーシュバーグの記事では、M.I.A.がビバリーヒルズのホテルのレストランでトリュフ風味のフライド・ポテトをつまみながら「アウトサイダーになりたい」「テロリストと呼ばれてもいい」などと語ったように描写されていて、M.I.A.の感じが悪いと反響を呼んでもいたが、実はフライド・ポテトを注文したのはハーシュバーグ自身だったことがアップされた音源ファイルからわかる。

さらに2番目のファイルでは、ハーシュバーグがM.I.A.の発言をどれほど文脈から抜き出して恣意的に書き改めているのかがわかる音源となっているし、M.I.A.が一番言いたかったことの力点ともなっている。ちなみにこの発言でM.I.A.はこう語っている。「これ(09年2月にグラミー賞パフォーマンスに妊娠9ヶ月の状態で出演したこと)はわたし自身のためにやったことじゃなかったし、アカデミー賞がほしくてやってることでもないし、グラミー賞がほしいっていうことでもないわけ。そんなことにはまったく意味がないから。この旅の本当に大切なところは、舞台に立って、『来月、5万人もの人が殺されるかもしれないんだ。今、それを止めるチャンスがあるんだけど』と表明することだったわけ。でも、誰もそうしなかったし、みんな結局、死んだ(09年5月にスリランカの内戦は終結し、M.I.A.の父親が関わっていたとされる「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」からの敗北宣言が公表された)。人にちやほやされたり、名声がほしくやってることじゃないわけ」。

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