カニエ・ウェスト、07年の“ストロンガー”でのニーチェの引用がそもそも盗作だと訴えられる

2007年作『グラデュエーション』

現在、ジェイ・Zと『ウォッチ・ザ・スローン』ツアーを敢行中のカニエ・ウェストだが、2007年のサード・アルバム『グラデュエーション』収録の“ストロンガー”の歌詞が盗作だと訴えを起こされていて、歌詞が哲学者のフリードリッヒ・ニーチェから引用したものであることがそもそも盗作だと訴えられている。

訴えを起こしているヴィンセント・ロジャースに対して、カニエ側の弁護団は“ストロンガー”の歌詞はロジャースの作品もカニエの作品も、どちらもニーチェの「かれを斃すにいたらないものなら、かえってかれをいっそう強くする」という文句を引用したものだと反論している。

カニエの“ストロンガー”もヴィンセントが2006年に書いたというトラックのどちらも、ニーチェの「かれを斃すにいたらないものなら、かえってかれをいっそう強くする」という文言を引用し、タイトルも同じ“Stronger”で、さらに同じようにスーパーモデルのケイト・モスを題材にしている。ヴィンセントは2010年にも自身のトラックのコピーをカニエのマネージャーのジョン・モノポリーに託し、その後モノポリーがカニエに音源を流したという訴訟を起こしている。

しかし、今年に入ってからロジャースはタイトルの一致、ケイト・モスへの言及、そしてニーチェの言葉の引用だけでは著作権侵害の確定はできないとして連邦裁判所から訴えを退けられたため、その後控訴を起こしていた。

カニエ側の弁護士であるキャリー・ホールはもしロジャースの訴えが認められてしまうと、「ありきたりでよく使われている言葉やフレーズを利用して著作権を設定してしまうことのハードルを危ういほどに認められてしまう」と力説している。

カニエはジェイ・Zとの『ウォッチ・ザ・スローン』収録の“ザ・ジョイ”についても訴えを起こされていて、この曲についてシル・ジョンソンの“ディファレント・ストロークス”のサンプリングを使っていることをクレジットしているが、しかし、シル側に対しては許可を申請もしなければ報酬も支払っていないと訴えられている。


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