メガデスのデイヴ・ムステイン、新作リリースにあたって右派的な発言は控えたと語る
2013.06.14 21:45
6月12日に新作『スーパーコライダー』をリリースしたメガデスだが、デイヴ・ムステインはこれまで様々な発言で物議を醸してきたようなやり方を控えて、今回の新作に関しては音楽に物を言わせることにしたと明らかにしている。
2011年の『サーティーン』以来2年ぶりとなる新作だが、今回はアメリカのアルバム・チャートに初登場6位という、94年の『ユースアネイジア』以来の好調なセールスを記録している。また、デイヴは政治や時事問題などについてかなり右派寄りの発言を繰り返し、オバマ大統領はケニア人なので大統領選は無効だなどと主張してきたことでも知られているが、今回の新作のリリースにあたってはそうした発言で世間の注目を浴びるのは避けようと思ったと『ビルボード』誌に語っている。
「単純にね、もうあんまりそういうことについて発言できる環境じゃなくなったんだなって思ったんだよ。人々はみんな極端に意見が両極化していて、ミュージシャンについても民主党支持派だから好きだとか、共和党支持派だから好きだとか、そんな基準で決めたりするものなんだよ。俺は昔から党派的な人間じゃないのに、なぜかいつも共和党シンパとして片付けられちゃうけど、俺は違うんだからね。だから、俺につきまとっているように思えるこうした物議や論議から離れて、音楽に物を言ってほしいと思ったんだよ」
そうした意味でも今度の新作ではより個人的なモチーフに専念するようにしたとデイヴは明らかにしていて、たとえば、自身の義母がアルツハイマー病に罹っていることなどを題材にしたそうで、「俺が『うちの母親がアルツハイマーで』とか、そういうことを言えば、それがたまたま聴き手の現実でもあったりして、すぐにそこに絆が生まれるわけだよね。だから、今回は俺の頭の中で起きていることじゃなくて、心の中で起きていることを書くようにしたんだけど、それでよく受け手に伝わったということもあったのかもしれないね」とデイヴは説明している。
また、今回のバンドのラインナップは前作『サーティーン』と同じ顔触れになっているが、メガデスが前作と同じ顔触れでアルバムを制作したのも1997年以来のことだという。なお、バンドは97年の『クリプティック・ライティングス』から『サーティーン』の間に5枚のアルバムを制作してきている。
バンドはブラック・レーベル・ソサイティなどを引き連れたツアー・フェス、ジャイガンツアーに7月から乗り出すが、今回のツアーに参加しているニューステッドのジェイソン・ニューステッドとの共演も考えられるとデイヴは明らかにしている。
デイヴとジェイソンはふたりとも元メタリカのメンバーで、デイヴは作曲面で大きく貢献していたにもかかわらず素行が悪すぎてファーストのレコーディング前にバンドをクビになっている。ジェイソンはオリジナル・ベーシストのクリフ・バートンが1986年に交通事故で他界した後に後任としてメタリカに加入し、方向性の違いにより01年に脱退している。デイヴはジェイソンと昔のメタリカ曲でも何曲かいずれやってみようかと話し合ったとも伝えられている。