メニュー

いよいよ『JAPAN JAM 2011』最終日、2番手として登場するのは、藤井フミヤをゲストに迎えたTRICERATOPS。楽曲提供やフィーチャリング・シングルの発表など、かねてから交流の深い両者だが、まずはザ・フーの"マイ・ジェネレーション"のSEに乗って、TRICERATOPSの3人が登場。サウンドチェックもかねたJAMから、和田唱による「Are you ready?」という掛け声で始まったのは"Groove Walk"! この選曲に明らかな通り、今日のトライセラは初っ端からフルスロットルで飛ばしていく。その勢いのまま、昨年発表した新作『WE ARE ONE』からの"Neo Neo Mods"を畳み掛けていく。オープニングSEもそうだし、吉田のドラム・キットのバスドラに描かれたターゲット・マークもそうだけれど、TRICERATOPSの最新モードは"モッズ"。クラシックなマスターピースをよく知る彼らこそと言える、リフを主体としたソリッドなロックンロールが突き刺さる。

ここでこの日、和田による最初のMC。「『JAPAN JAM』初出演、このステージに立てて光栄です。今日はあの人が来ています。お楽しみに。それまではしばし俺たちの音楽を聴いてください。俺たちも全力でやるんで、みんなも全力で来てくれよ」というわけで、ここからは彼らのアンセムを連続で投下。"Warp"では鮮やかなコーラス・ワークを見せつけ、オーディエンスとのコール&レスポンスから突入したのは"Raspberry"。あのイントロのギター・リフが鳴った瞬間に客席からは大きな歓声が上がる。更に"FUTURE FOLDER"までという鉄壁のセットリスト。和田は客席に向かって、高く右手を上げてみせる。


そして、いよいよあのゲストの登場である。「みんな、準備はいいですか? 俺らもみんなと同じように楽しみたいと思います。じゃあスーパースターを呼ぼうと思います」という紹介でステージに現れたのは、藤井フミヤ! 曲は、和田が藤井フミヤに提供した"キメゼリフ"。しかし、なんだろう、この人のあまりに"サマ"になってしまう感じは。一挙手一投足、すべてが華麗にして優雅。モニターに足をかけるだけで、客席からは嬌声が上がり、ここまでの『JAPAN JAM』3日間の中でも、その黄色い歓声はMAX。間奏ではブルースハープまで披露してみせる。そしてMC。「ちょっと立ち位置よく分かってないんだけど」とお茶目な部分も見せつつ、「折角なんで手土産代わりに歌います」と言って、アコギを手に弾き出したのは、あの旋律。"TRUE LOVE"である。最初の一節を歌い出した瞬間、会場中から大きな溜息がもれる。藤井フミヤのあの声、色気はまったく変わっていない。藤井フミヤも冗談っぽく「これが一番売りだったかも」と言っていたが、そんな言葉では収まりきらない、あまりに貴重な瞬間、もちろんトライセラをバックにこの曲をやるなんて初めてのことだ。


しかし、サプライズはこれで終わらない。「今回ちょっと居酒屋でミーティングしたんだけど、そうしたら、この人も出てるじゃん! ということで、出てくれるかどうか頼んでみようって、その方に僕が電話したんだけど、まるでジュース買うのに100円貸してくれるみたいに『いいっすよ』って」という藤井フミヤの紹介でステージに現れたのは、なんと奥田民生! なんで今回こんなに出番が早いのか&どうやって和田くんに今回のセッションを仕切られたのかを明かしつつ、この3組が揃ってやるのは、もちろんこの曲。藤井フミヤのアルバム『F'sシネマ』に奥田民生が提供した"嵐の海"。奥田民生がギターを弾き、コーラスをとり、藤井フミヤがブルースハープをふき、ボーカルをとる。もちろん、バンド・サウンドを生み出すのはTRICERATOPSだ。これまで一度も実現することのなかった3者の共演。最後のグダグダっぷりも含めて、自然と笑みが漏れるような、最高のセッションだった。さらに、和田と藤井フミヤがデュエットに挑戦したシングル"爆音Time"、トライセラの最初期の楽曲"彼女のシニヨン"を藤井フミヤが歌うというスペシャルな一幕まで披露。最後、まるで銃のようにマイクを構えた藤井フミヤ、そして、このステージを作り上げたTRICERATOPSの姿は本当にカッコよかった。(古川琢也)


◆TRICERATOPS
ゲスト・アーティスト:藤井フミヤ

1 Groove Walk
2 Neo Neo Mods
3 Warp
4 Raspberry
5 FUTURE FOLDER
6 キメゼリフ w/藤井フミヤ
7 TRUE LOVE w/藤井フミヤ
8 嵐の海 w/藤井フミヤ/奥田民生
9 爆音Time w/藤井フミヤ
10 彼女のシニヨン w/藤井フミヤ