でもそれは、いわゆるキラキラした「青春ロック」じゃない。
彼らが鳴らすのは、うまくいかない日々や、ぶつけどころのないモヤモヤ、時間だけが虚しく過ぎていくような、あの感覚だ。
そういう、一見ネガティブにも映る感情を、切り捨てるでも、美化するでもなく、「そんな日もあるよな」と笑い飛ばしてくれるような音楽に僕らは救われる。
音楽って本当に素晴らしいものだけど、音楽そのものが現実を変えてくれるわけじゃない。
どれだけ心を震わせるメロディが流れても、明日の問題が勝手に解決することはないし、辛い現実が魔法のように消えるわけでもない。
でも、Blue Mashの音が全力でぶつかってくる間だけは、絡まった感情が一気にぶち抜かれて、不思議とスッキリするのだ。
Xにも本人が投稿していたが、今日のリキッドルームでのライブ、Vo.優斗は体調が万全ではなかったらしい。実際、ライブの後半にもなると、彼の身体は歌うたびに少しずつ揺れていた。それでも、彼は最後まで気合いと根性で歌いきった。
別にそれを美談として昇華したいわけじゃないけれど、ステージにあった緊張感は会場全体にも確かに伝わっていて、それはもう音楽というより、ステージとフロアの感情と感情のぶつかり合いだった。(古閑英揮)