アスを新代田FEVERで目撃!

昨年のフジロック’24で脅威の6ステージをやり遂げ、苗場にガレージロック旋風を巻き起こしたフィンランドの超新星、アスが再び日本に上陸!
とめどなく響くタイトなギターサウンドと、観客を巻き込む和気あいあいとしたムードで、さらに日本のファンの心を掴んだ白熱の新代田FEVER公演。その模様を目撃してきた。
息をつく間もないほどに駆け抜けた約90分。熱狂の渦の中で垣間見えた、新たなアスの姿とは――その全貌を完全レポート!

アスと日本のガレージロック・シーンとの親和性の高さは、はっきり言って“異常”と言っていい。
かつてシーナ&ザ・ロケッツ、ギターウルフ、ザ・ミッシェル・ガン・エレファントといったレジェンドたちが築き上げたロックの系譜は、今なお脈々と受け継がれ、熱量を失うことなく支持され続けている。そんな日本の土壌と、約12,000キロ離れたフィンランドのバンドがシナジーを生み出していることが実に興味深い。
そして、それはアスにとっても同じこと。ライブの随所に日本へのリスペクトが込められていたのが印象的だった。

そんな一夜は、ザ・ミッシェル・ガン・エレファントの『スモーキン・ビリー』を出囃子にスタート。この粋な演出の時点で、すでに観客のテンションは最高潮。
そこにオープニング曲“ブラック・シープ”のイントロが流れた瞬間、空気が一変した。会場にいた全員のスイッチが入ったかのように、耳だけでなく全身でアスのサウンドを受け止めようとする空気が生まれた。それに応えるように、パン(Harp)のハーモニカが熱を帯びる。普段は茶目っ気たっぷりの彼だが、ステージに立つ姿は一転、鬼気迫るほどの集中力を放っていた。

そんな前半のハイライトは“I Wanna Be Your Lover”。シンプルでブルージーなこの楽曲だが、特筆すべきは各パートの見せ場の精密さ。ギターとハーモニカ、それぞれが焦点を絞って最大限にエネルギーを放出しつつ、決してぶつかり合わない。その構成力の高さに驚かされた。

セットリスト中盤には、新曲がずらりと並ぶ。中でも興味深かったのは、アコースティック編成で披露された2曲。いつものように疾走感あふれるガレージサウンドとは異なり、よりブルースの深みにフォーカスしたサウンドで、アスの新たな表情を見せてくれた。

そして今夜最大のハイライトは、アンコールで披露された“Night Time”。アスの楽曲の中でも群を抜いてライブ映えするこの曲は、まさに生粋のガレージロックアンセム。昨年のWWWX公演に続き、今回も観客とバンドが完全に一体化する圧巻のフィナーレを迎えた。

毎回ハズレなしのハイボルテージなアスのライブ。コンスタントに日本を訪れてくれる彼らだからこそ、絶対に見逃したくないと思わせる、そんな不思議な魅力を放っている。
次なる来日は7月のフジロック。ぜひ、あの熱狂を体感してほしい! (北川裕也)
rockin'on 編集部日記の最新記事