“今”のバンドにしかできないライヴだった。フォスター・ザ・ピープルのリキッド公演を観てきた。
あらためて言うまでもないかもしれないけれど、
洋楽にはファースト・アルバムのツアーというのがある。
邦楽のように何度もライヴを行なうことが物理的に難しいので、
だいたいアルバム1枚につき1回、
フェスを含めても、せいぜい2回ぐらいしか観る機会がない。
それで、まだファースト・アルバムだから、特にロック・バンドの場合、
ストーンズやU2とは言わないまでもショーアップしたセットを持ってくるのは、まず不可能。
ということは、まだ10曲程度しかないアルバムの楽曲と演奏力、
それだけでオーディエンスを魅せなければならない。しかも言葉は通じない。
そのうえ、いきなりいわゆるワンマン・ライヴということになる。
難しい条件ばかりである。
だから、いつもファースト・アルバムのツアー、新人のツアーというのは、
思い入れのあるバンドの場合、気が気じゃないというか、
手に汗握る、そんな様相になっているのだけど、
今日の場合はまったく心配がいらなかった。
曲の力とパフォーマンスだけで圧勝。
どっしりした気持ちで見られる久しぶりのファースト・ツアーだった。
ウィーザーの“セイ・イット・エイント・ソー”のカヴァーが象徴的だったけれど、
フォスターは、シンガーとして圧倒的な才能があるとか、
至高の音楽性があるとか、そういう人たちではない。
でも、ウィーザーを観て、ギターを自分も持ちたいと思ったように、
フォスターには、自分もシンセを持ちたいと思わせる、そんなバンドなんじゃないか、と思った。
ウィーザーやスマパンが日本のロックに大きな足跡を残したように、
フォスターのようなバンドがこれから更に日本でも増えるんじゃないか、
そんなことを思うライヴだった。
明日は代官山UNITで追加公演。
もうソールドアウトだけど、多くの人に観てほしいと思った。(古川)