頭脳警察PANTA、亡くなる

率直で明るい人だった。曖昧さを嫌うというより、はなからそこに逃げる意思がなかった。曲のタイトルを見ても「ふざけるんじゃねえよ」「銃をとれ」「赤軍兵士の詩」「歴史から飛び出せ」「言い訳なんて要らねえよ」「世界革命戦争宣言」という感じで、限りなく率直だ。
「赤軍兵士の詩」のブレヒトを例にだすまでもなく、文学的な言葉も誰よりも持つ人だったが、歌詞も表現もそこに向かわず、率直で明快な歌詞と音だった。
年末のフェスCDJに出てもらった。年明けに、出演アーティストも呼んで打ち上げをやった。来てくれたアーティストは少なく数組だったが、彼は来てくれた。普通に席があったのだけど、いきなり彼は床に座ってしまった。仕方がないので僕も床に座って相手をした。話しは盛り上がり楽しい時間を過ごした。
後からスタッフに言われたが、パンタと僕が二人で店の床に座って盛り上がっている様子は、かなり浮いていて70年代の新宿がワープしてきたみたいだったと言われた。
忌野清志郎、遠藤ミチロウ、坂本龍一、そしてパンタと同世代で、同じ率直さを持ったアーティストたちが亡くなっていってしまった。
とても寂しいし悲しいし残念だ。
1972年のロッキング・オンの創刊号、ほとんどが文字で写真は掲載されていない。でも頭脳警察は唯一斎藤陽一カメラマンの写真作品として掲載されていた。
ご冥福をお祈りします。
渋谷陽一の「社長はつらいよ」の最新記事