佐野元春「サムデイ」ライブを観る


アルバム「サムデイ」の楽曲のみのライブ。海外に於いてはわりと行われることの多い形のライブだが、日本ではそれほど多くない。名盤ライブと題されて、これからシリーズ化されるようだが、そのトップとして佐野元春の「サムデイ」はとてもふさわしい作品と言えるだろう。
DVDとブックレッット付きとはいえ15000円というチケット代にもかかわらず、2回公演がソールドアウト。佐野元春ファンにとっていかにこの「サムデイ」が特別なアルバムであるかが分かる。
ステージ最初のMCは「サムデイ・コンプリート・ライブ、こんな日が来るなんて思ってもみなかった」だった。
30年に発表された「サムデイ」は、その後の日本の音楽シーンに大きな影響を与えた。
楽器アンサンブル、歌詞の世界観、アレンジのスタイル、どれもが革命的だった。
このアルバムから日本のロックの新しい文法が作られたと言っていい作品である。
30年前の作品の完全再現ライブだが、懐メロな匂いが全くなかった。それは見事なくらいだった。アルバム「サムデイ」は今だに新しかった。
まだ大阪公演があるので詳しくは書けないが、素晴らしいライブだった。
終わった後、自分が作ったわけでも、歌ったわけでもないのに、何か誇らしい気分になった。あのアルバムと時代を共有したこと、佐野元春を聞いていたことが、誇らしく思えて来るライブだった。それは今日、あの会場にいたファン全てが感じたことだと思う。
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