小さくて大きな希望の歌

RADWIMPS『ココロノナカ』
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5月下旬、緊急事態宣言が明けるか明けないかという時に野田洋次郎がSNS上で発信したのがこの“ココロノナカ”。1分少々という短い曲だが、そのぶん《いざ行こう さぁハッピーエンドよ そこで待っていろ》という1行に集約されていく希望のメッセージはシンプルで純度の高いものになっているし、メロディもほぼひとつで、一度聴けば誰でも覚えられ、歌える曲になっている。この「誰でも歌える」というのがとても重要だ。野田は「音も映像も好きに使ってもらっていいです」と付記していたが、つまりこの曲ははじめからみんなのものになることを想定して書かれたということである。だから歌には全編合唱のようなコーラスが重ねられているし、裏では手拍子がずっと鳴っている。その「委ねかた」が余白を生み、小品でありながらそれこそ“正解”のような大きさを感じさせる曲にしている。もともとそうだったが、『ANTI ANTI GENERATION』以降のRADWIMPSはますます「みんなのうた」であることに自覚的だ。そのモードが予期せぬこととはいえ、ダイレクトに形になっているのだ。(小川智宏)