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今春のアリーナツアーでもいち早く披露されていた新曲。リッチで陶酔感溢れるフィリーソウル/ファンク風の曲調は、辣腕&曲者揃いの大所帯バンドによるライブ演奏に映えて素晴らしい手応えだった。《全てを 良く思えなくていい/自ら不可思議 見つけたっていいんだ/グレーな選択も あるけれど/クリームな真ん中が/今はしっくり来てる/考えを保湿してみる》と歌うACAねの思いは、滅多やたらに騒ぎ立てて白黒のジャッジをつけたがる世の風潮にポワンと柔らかく投げかけられる。言葉遊びや謎かけめいたところがあったとしても、いつだって彼女の歌は時代と人の心のストライクゾーンを狙っているのだ。音源で聴いてみると、チャーミングなメロディや瑞々しいアレンジさえ、このメッセージのためにしたためられたのではないかという気がしてくる。前衛性やエキセントリックさももちろん大事だけど、ずとまよのすごさは「いい曲」を生み出し続けていることにこそあるのだと、あらためて気づかされるのだ。(小池宏和)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より)
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