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原作は2003年に起きた事件の真相を描いたルポルタージュ本、監督は三池崇史、脚本は森ハヤシで、俳優陣はクレジットされている全員、製作陣ならツモりたい役者だらけ。という、「面白くないわけがない」と観る前から断じたくなる映画『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』の主題歌。そもそも、タイアップ等のお題ありで曲を書くことに非常に長けているのがキタニタツヤである、という認識はあったが、にしても、聴けば聴くほど見事、この曲。映画のエンドロールと共に始まるのがぴったりの曲調なのもそうだし、サビメロのドラマチックで物憂げな響きもそうだし、ストリングス主体のアレンジもそうだが、特に歌詞。映画とリンクしているようでしていないような、していないようでしているような絶妙な距離感になっているし、そのうえで、キタニタツヤ個人の思いを吐き出したものとして受け取れる。というか、そうとしか受け取れない。クリエイターとして強いなあ、この人、とつくづく思う。(兵庫慎司)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
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