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おいしくるメロンパン、10周年を迎える今年、10月1日に10枚目のミニアルバムでメジャーデビュー。作品はもちろん5曲入り。ベースはリードギターの如く雄弁に歌い、ドラムは打楽器とは思えないきめ細やかさを見せ、ナカシマの瞳には情感豊かな日本語が明朝体で浮かんでいる。バンドを貫く美意識は何も変わっていない。しかしそうして生み出された楽曲は、いつにも増して「自由」だった。“誰もが密室にて息をする”ではダーティーで酸素不足なグルーヴがうねり、“未完成に瞬いて”では軽やかなメロディが鍵盤とともにスキップしていて、彼らの表現に対するピュアな欲求がもぎたての果実のような瑞々しさでパッケージされている。予め決められた運命線をなぞりながら、決して予定調和に陥らない物語を紡ぐ、永遠と刹那がメビウスの輪のように絡み合う作品。そのイメージは、海の果てに消えるひと夏を描く“群青逃避行”でも、16年連れ添った悲しみが心の底にべったりと張りついた“十七回忌”でも、音と言葉で視覚化されている。（畑雄介）（『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より）
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