THE YELLOW MONKEY/東京ドーム

THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by KEIKO TANABEPhoto by KEIKO TANABE

●セットリスト
1.WELCOME TO MY DOGHOUSE
2.パール
3.ロザーナ
4.嘆くなり我が夜のFantasy
5.TVのシンガー
6.サイキックNo.9
7.SPARK
8.天国旅行
9.真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~
10.Stars
11.SUCK OF LIFE
12.バラ色の日々
13.太陽が燃えている
14.ROCK STAR
15.MY WINDING ROAD
16.LOVE LOVE SHOW
17.プライマル。
18.ALRIGHT
19.JAM
20.SO YOUNG
21.砂の塔
22.BURN
23.悲しきASIAN BOY


THE YELLOW MONKEYが東京ドームでライブを行うのは、2001年1月の解散前の事実上ラストとなったライブ以来、実に17年ぶりだ。そういえば、そのラストライブでは「私たち、普通の野良犬に戻ります。我がイエロー・モンキーは永久に不滅です」と言って、初期からの彼らの代表曲“WELCOME TO MY DOGHOUSE”を演奏して、バンドはその活動を休止させたのだった。この日、会場へと向かう道すがら、この言葉を思い出していた人は決して少なくないと思う。そして、まさか本当にこの同じ地で「不滅」を体現して見せてくれる日が来るとは。
THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by 森島興一Photo by 森島興一
初日に引き続き、2日目も完売で満員の会場。もはや恒例ともなった、開演時間までのカウントダウンがスクリーンに映し出されている。広いステージからはアリーナ中央付近にまで伸びる2本の花道。その先には巨大な卵を思わせる球体がセットされ、ひびが入り今にも割れそうな様相を呈す。カウントダウンがあと100秒を切ると会場からは拍手とともに歓声が沸き起こり、皆立ち上がる。残り10秒からは声を揃えて3、2、1──暗転。スクリーンに過去の映像が映し出される中、その巨大な卵が熱を帯びたかのように光り出し、「大きな犬小屋へようこそ。Welcome!」という吉井和哉(ロビン/Vo・G)の声が響くと、卵が割れてメンバー全員がその中から姿を現し、そのままアリーナ中央のサブステージで演奏が始まる。曲はもちろん“WELCOME TO MY DOGHOUSE”。まるでライブハウス時代を思わせるような、シンプルで力強い演奏。そして、東京ドームでは止まったままだった時計が、再び動き出したことを会場にいる全員が実感する。続く“パール”。《何も答えが出てないぢゃないか》という歌詞に思いがこもる。今日、その答えのひとつを見たいと思った。
THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by 有賀幹夫Photo by 有賀幹夫
2曲をその小さなステージで演奏し終えると、メンバーは二手に分かれた花道をゆっくりと歩きながら、ドームいっぱいに埋め尽くされたファンの姿を確認するかのようにメインステージへと移動。「東京! 最高の夜にしようぜ!」と、再び吉井の声で、菊地英二(アニー/Dr)がダンサブルなビートを刻み始め“ロザーナ”を披露。大げさに盛り上げるわけでもないのに耳にそのリズムとメロディがしっかりと残る。予想以上にライブで映える楽曲だった。廣瀬洋一(ヒーセ/B)のベースもタイトなリズムを牽引する。菊地英昭(エマ/G)のメランコリックなギターも心地よい。続いてかき鳴らされたギターイントロに、とびきりの歓声が上がる。“嘆くなり我が夜のFantasy”である。再集結後、おそらく初めて演奏され、ライブで再び聴く日を待ち望んでいたファンも多かっただろう。
THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by 森島興一Photo by 森島興一
この序盤で、彼らは17年ぶりの東京ドームを完全に「ホーム」に変えた。ソリッドなギターサウンドがロックンロールの気持ちよさを生み出す“サイキックNo.9”から鉄板の“SPARK”、サポートの鶴谷崇(Key)のピアノとエマのギターが余韻を引く“天国旅行”など、どんどんこの広い会場をイエロー・モンキーの色に染め上げていく。圧巻は“真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~”。ストリングスのドラマチックなサウンドに、サンライズとサンセットを映し出す美しい映像がマッチし、ドームならではスケール感を生む。メロウなエマのギターソロには、傍らに寄り添う吉井の姿。とても嬉しそうに視線を交わし合い、微笑み合う2人。最高だ。
THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by 山本倫子Photo by 山本倫子
「初めて東京ドームでライブを観たのは、1990年のデヴィッド・ボウイでした」と、吉井がドームに対する自身の思いを語り始める。「その時は、THE YELLOW MONKEYはこのメンバーになったばかりで、ヒーセと一緒に観に来たんだよね」と。同じライブをエマも観ていたという(「アニーは?」と聞くと、ちょっと寂しそうに頭を横に振って、笑いを誘っていた)。「その頃は、こんなデカイところでやるなんて、自分たちには絶対無理だと思っていた」と続け、解散前のライブをここで行ったこと、またここに戻って来れたことへの思いを口にした。そして「あの頃の自分に言ってやりたいです。『何も心配ない』と」と言って、「みなさんも未来に希望を持って、信じて進んでいってください」と披露された“バラ色の日々”に胸が熱くなる。

ホーン隊と女性コーラスでゴージャスに彩られた“太陽が燃えている”は素晴らしくポジティブに鳴り響き、イエロー・モンキー流ディスコロック“MY WINDING ROAD”へと続く。エマの光るフライングV、ミラーボールの演出、ベタなことをこれほどかっこよくやれるバンドが、他にいるだろうか。「世界のおねえさん!」と叫んで始まった“LOVE LOVE SHOW”では、まさに世界中の美女が登場し花道を彩り、吉井が一人一人に絡みながら歌っていくという、もう、ミック・ジャガーか吉井和哉しか様にならないんじゃないかと思える演出にも心が躍る。この曲、やっぱり吉井にしか書けない、心からの女性賛歌なんだなと思ったりもした。
THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by KEIKO TANABEPhoto by KEIKO TANABE
何もかもが特別な夜に、改めて聴く“ALRIGHT”はとにかく格別で、再集結から2年が経とうとする今、この曲のグルーヴ感、バンドアンサンブルの素晴らしさには、彼らはまだまだどこまでも前に進んでいるのだと実感する。「東京ドームは再集結後のミッションのひとつだった」と語った吉井だが、「来年は最大のミッションであるアルバム制作に本格的に入ります」という嬉しい報告も。再集結のツアーが一段落した後、誰もがアルバムを待ち望んでいた。ドーム公演前に出たら嬉しいなとか、いろいろ思っていた自分もいたけれど、きっと東京ドームにしっかり新たな歴史を刻んだ後でなければ、再集結の答え合わせは終わらなかったのだと思う。「この2年でTHE YELLOW MONKEYとしてやるべきことが明確になってきました。今まで日本になかったバンドになっていこうと思います」と吉井が語ったことがすべてだと思う。さらに、「東京ドームでやるのが大好きな曲です。今日は一人一人に歌います」と言って“JAM”が披露され、力強いシンガロングが起こると吉井は目を閉じて、その一人一人の声に耳を傾けた。万感の思いが込もった「Beautiful!」の声を上げると、鶴谷のピアノもどんどんエモーショナルになって、美しい余韻を残した。

ここで本編は終了し、最新曲“Horizon”がフルコーラスで流れる。エマが作詞・作曲を担当したこの曲は、改めてバンドの再集結後の思いを歌にしたような感動的な曲で、思わずじっくり聴き入ってしまう。そして、再びメンバーがステージに集まると、静かに始まったのは“SO YOUNG”。時の経過を慈しむかのような思いのこもるバンドサウンドは、彼らが真の意味でロックスターであることを感じさせたし、結成から何年経とうとも、どれほどブランクがあろうとも、人生はいつでも「最高」を更新できることを彼らは証明して見せてくれた。《あの日僕らが信じたもの/それはまぼろしじゃない》という歌詞が、これほど真実味を持って響く日が来るなんて──。
THE YELLOW MONKEY/東京ドーム - Photo by KEIKO TANABEPhoto by KEIKO TANABE
最後は“悲しきASIAN BOY”。「THE YELLOW MONKEY」の電飾文字も、今回はドーム仕様で迫力の横長バージョン。YES SIR!! のタイミングで花火が打ち上がり、クライマックスでは桜の花びらのような紙吹雪が客席に舞い落ちる。ホーンもストリングスもフルで盛り上げる超グラマラスな演奏を響かせて、これ以上はないほど会場の一体感を生んでいった。すべての演奏を終えて、改めてメンバー全員で今日の興奮と歓喜をオーディエンスと共有するように、花道をゆっくりと時間をかけて歩いていく。この光景を刻みつけるように──。そのメンバーの中に、サポートの鶴谷もいたことが印象的だった。再集結後の「THE YELLOW MONKEY SUPER」の活動は、彼の存在なくしては有りえなかったからだ。全員が誇らしげで、心底この時間を楽しんでいる。その屈託のない笑顔が、東京ドームという地がTHE YELLOW MONKEYにとってポジティブな場所として、記憶に上書きをされたことを物語る。それは、終演後に会場を後にする多くのファンの表情からも存分に感じられた。「永久に不滅です」と言った17年前の言葉──。あの時の切なさも、今はただ愛おしい思い出に変わった。(杉浦美恵)

終演後ブログ
【速報】THE YELLOW MONKEY@東京ドーム、2日目。歓喜の夜でした
THE YELLOW MONKEYが再集結を果たしてから約2年の月日が経とうとしている。彼らが東京ドームのステージに立って、何の迷いもわだかまりもなく、最高のステージを披露した──。とにかくそれを心から祝福したいと思う夜だった。おそらくこのBIG EGG(とあえて呼ばせてもらう)でのライブを実…
【速報】THE YELLOW MONKEY@東京ドーム、2日目。歓喜の夜でした
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする