米津玄師が、自身初の単行本を発売する。その名も『かいじゅうずかん』。『ROCKIN’ON JAPAN』内のカルチャーコーナー「JAPAN TIMES」にて、2013年8月号〜2015年12月号まで掲載していた人気連載、「米津玄師のかいじゅうずかん」、満を持しての単行本化だ。
連載では、米津自身が考えた架空の生物=かいじゅうを、イラストと文章によって紹介。体長などの身体的特徴から、どこに棲み、何を食べ、どう生きて、時には、どう死んでいくのかまで――精緻なイラストと、その生物たちの息遣いまで感じられるテキストで、おまわりさん、消息通知人、子連れ毛玉など、個性豊かなかいじゅうたちの物語を紡いできた。
これまで世に送り出されたのは28体だが、単行本には全41体のかいじゅうが登場する。13体のかいじゅうは、単行本化に際して新たに描き下ろされたものだ。この表紙にしているイラストはそのうちの1体。彼らの物語も、その目で確かめてほしい。
さらに『かいじゅうずかん』には、なんと書き下ろし新曲を収録したCDも封入! そのタイトルは、“love”。米津玄師が“love”という曲を歌うということの意味は、とてつもなく大きい。『ROCKIN’ON JAPAN』10月号のシングル『LOSER/ナンバーナイン』のインタビューでも、「ひたすら遠くに行きたい」と語っていた米津。その言葉どおり、彼は少しずつ自分を解放してきた。
ハチとしてネットシーンで活躍したのち、本名の米津玄師としてデビュー。バンドでの演奏、ライブ活動、フェスやイベントへの出演、USJやルーヴル美術館展などとのコラボ――と走り続け、音も歌詞もどんどん外へと開いてきた。“love”では、波間をたゆたうような深遠な音色の中、ゆったりとしたリズムで、深い孤独と、それを知っているがゆえに届けずにはいられない、切実な愛を描く。《永遠に生きられないとしても/いつかは嫌われたとしても》。
1stアルバム『diorama』をリリースした頃、「人と人とはわかりあえない」と語っていた彼は、3rdアルバム『Bremen』で《いつでも僕は確かめる 君を愛してると》(“Blue Jasmine”)と歌った。そして今、いつか必ず来る終わりを知っていてもなお、しっかりと前を向いて愛を歌う。米津はまた、新たな場所に踏み出した。かいじゅうという、彼の中から生まれた分身のような存在が繰り広げる物語のエンドロールとして、深く響く曲だ。
『かいじゅうずかん』は、2016年12月10日(土)に発売される。
現在、rockin’on storeにて予約受付中。
『かいじゅうずかん』予約ページ
http://www.rockinon.co.jp/product/book/143388
(塚原彩弓/『ROCKIN'ON JAPAN』2016年12月号より転載)