BUMP OF CHICKEN、新曲“記念撮影”は僕たちを《終わる魔法の外》へ誘ってくれる

BUMP OF CHICKEN、新曲“記念撮影”は僕たちを《終わる魔法の外》へ誘ってくれる - 『記念撮影』『記念撮影』
6月19日からオンエアされているカップヌードル2017年新CM「HUNGRY DAYS 魔女の宅急便 篇」のバックでこの曲が流れているのを聴いた時は、もっと速いテンポのナンバーだと勝手に思っていた。
が、7月5日に配信リリースされリリックビデオも公開されたBUMP OF CHICKENの新曲“記念撮影”は、細かくリズムを刻む要素こそあるものの、実際のビートはBPM=60という、スロウナンバーと呼んでも差し支えないくらいゆったりしたものだったことに驚いた。



「映画『魔女の宅急便』の『キキ』や『とんぼ』が現代に高校生活を送っていたら?」というパラレルワールド的世界を描くこのCMの、青春期独特の危なっかしくも愛おしい疾走感に満ちた空気が、短い尺の中で聴いた楽曲の記憶にオーバーラップしていた、という理由ももちろんあると思う。
しかし、何よりその疾走感をリードしていたのは他でもない、メロディの符割りと言葉の加速度でもって、聴く者の心を前へ先へと突き動かしていく、藤原基央の歌のドライブ感そのものだ――と、リリースされた音源を聴くと改めて気づかされる。

《そして今/想像じゃない未来に立って 相変わらず同じ怪我をしたよ/掌の上の 動かない景色の中から 僕らが僕を見ている》
同じカメラのフレームに収まっていた「あの頃」に想像していた「未来」を、紛れもない「今」の現実として生きることの重さと痛み。それでもなお抑え難く「その先」へと弾む心を《迷子のままでも大丈夫 僕らはどこへでもいけると思う》というフレーズに託し、キキやとんぼだけでなくその歌に触れる者すべてを《終わる魔法の外》へと誘い鼓舞してみせる凛とした強さ――。

“Butterfly”の壮麗なハイブリッドロック感に象徴されるアルバム『Butterflies』での音楽的なトライアルを経て、“アリア”、“アンサー”、“リボン”といった配信シングル群では(楽曲の方向性こそ多様ながら)一貫して4人の生々しいまでにリアルな体温とバンド感にフォーカスした楽曲を発表しているBUMP OF CHICKEN。
どちらかといえば静謐な楽曲であるはずの今回の“記念撮影”に脈打つ前のめりな生命力はそのまま、さらなる進化へ向けて沸き立つBUMPの冒険精神そのものとして胸に響いてくる。

9月からは全国ツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2017-2018 PATHFINDER」がスタートする。
「探検者」という意味を持つ言葉をツアータイトルに冠した彼らの「今」をびしびしと伝えてくる。“記念撮影”はそんな曲だ。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする