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クラシックの素養をバックに備えながら、鍵盤によってポップ・ミュージックの粋を追求するソングライター、SUEMITSU & THE SUEMITH。ショパンの“別れの曲”でしっとりと2日目のMOON STAGEの幕を開けた彼のライヴは、彼がいかにソングライターとしてタフであり、同時に繊細なタッチを持っているか、証明してくれるようなものだった。スタインウェイのグランド・ピアノを持ち込んでのステージ。2曲目で“Astaire”が始まると、一気に場内はドライヴがかかり始める。ピアノ・アニマルとでもいうようにピアノを激しく叩きつけるさまはアグレッシヴだが、けれどその上で歌われるメロディーは実に繊細なものだ。アニメの『のだめカンタービレ』のオープニング・テーマになるという“Allegro Cantabile”。そして、ファースト・アルバムに収録の名曲“Irony”。触れると壊れてしまいそうなメロディーが確かな強度をもって響いてくる。SUEMITSU & THE SUEMITHのソングライターとしての稀有な才能を十分に伝えてくれるステージだった。(古川琢也)