メニュー
最新作『SENSUOUS』をめぐる今回のツアーは、鳴らしうる音、それを具現化した映像、そこから生まれるエモーション、という3つを徹底的に追求したものだ。音楽と、アートと、禅と、遊び心が一緒になったような、唯一無二のフォーム。コミュニケーションの手段としての音楽だけではなく、コミュニケーションの成立要素を一つずつ目の前に提示していくような、そんな音楽を今のTHE CORNELIUS GROUPはやっている。既に世界的な市場を当然のものとして活動している彼らだが、ツアーの終盤を迎えた現在の彼らはその完成型を見せてくれると言っていい。あれだけ複雑なプロダクションが施されているにもかかわらず、「シンクロ」のほとんどをアナログで行なっているので、そういう部分では日によっての調子もあるのだろうが、アンサンブルの鍛えられ方が半端ではない。今回のツアーを何度か観ているけれど、それでもその度に驚かされ、魅入り、なにかが胸のなかに生まれる。もう世界基準どころか、世界でも孤高の位置を彼らは獲得しつつある。(古川琢也)