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野村(key)と伊藤(Dr&口笛)がお互いに向かい合う佇まいが異彩を放ちつつ、1曲目“PENGUIN & CAMEL”がスタート。インスト・ユニット、グッドラックヘイワの奏でるサウンドは、初っ端から徹底的にユニークなものだった。ラグタイム的なゆったりとしたピアノのメロディと、伊藤の口笛が溶け合いながら、ムーディー且つ摩訶不思議な空間がじっくり生み出されていったのだ。唯一無二の塊のようなサウンドに誘われて、フロアはみるみる内にお客さんで埋め尽くされていった。 2曲目“ムッシュミヤタケ”の後、野村が挨拶。「この前母ちゃんから電話がかかってきて、“あんた、坂本龍一さんと一緒にライヴに出るの?”と(笑)。カウントダウン・ジャパンのホームページで、僕らと坂本龍一さん写真が一緒に載っているのを見たらしくて」。微笑ましいエピソードで和ませつつ、再び始まった演奏もオリジナリティが満載であった。アメリカ南部的な乾いたフィーリングを口笛の哀愁メロが加速した“ミシナーブルース”。陽気な開放感と熱い炸裂感の二重構成でうっとり魅了してくれた“遅刻”。それまでの曲のムーディーさから一転し、アグレッシヴな一面も煌かせた“麒麟坊”。スペイシーなシンセサウンドを盛り込み、何処か人を喰ったトーンで展開した“宇宙の犬”は、おとぎ話でも読んでいるかのようなキュートなドラマ性を満載していた。そして、ラスト・チューン“パクチー公園”は、スリリングなアンサンブルの高鳴りが快感! 今回、本フェスに初出演の彼らだが、バッチリとその稀有な持ち味を示してくれた。(田中大)