実は今日のJAPAN JAM、FACTのライブが生で観られる、ということだけで興奮した人も多かったはずだ。それほど、その実力と人気に比して、まだまだライブ・チケットの入手困難が叫ばれるFACTが、映像とコラボした今日だけのスペシャル・セットでいよいよ登場する。ステージ上にはいつもの楽器セットと、背景のスクリーンには「FACT」のバンド・ロゴ。速射砲のようなSEが一瞬響いて、青いライトの中、ノイズで歪んだバンド・ロゴが炎に包まれると、1曲目は“paradox”！ 「みんな久しぶり！ アゲてこうぜ！ 今日もパーティーして帰ろうぜ！」とボーカルのHiroが叫ぶと、Eijiのツーバスから叩き出される変幻自在の高速ビートが炸裂し、会場は一気にヘヴィネスの渦に巻き込まれていく。BPMを落としたイントロから、一気にデス声の絶叫とブラストビートが爆発する“los angels”、小刻みなボーカリゼイションが高速ダンスビートを煽る“a fact of life”と、冒頭3曲ですでにフロアは沸騰。そして、今日のライブの流れに完璧にシンクロするようにセットアップされたNINOの映像は、一瞬も途切れることなく不穏なイメージのコラージュを照射して無意識のアドレナリン放出を加速させていく。




そして「新曲やるぜー！ イキたいやつは一歩前に来い！」とHiroが言い放つと、強烈なリフのイントロと共に鳴らされたのは、新曲“the shadow of envy”！ 「オーオーオー」のコーラスに早くも合唱が巻き起こり、「ジャンプ！」の一言でフロアがいっせいに跳ねる。　展開の意外性、というか先を読ませない快感がFACTの持ち味だけど、この曲は特にヤバい。必聴である。続いて2本のギターのキラキラとした絡み合いからエレクトリックに暴発するシンセ・ノイズへと繋がる“dec2”を終えて、「俺らなりにジャムっちゃいました」という前口上で鳴らされたのは、グリーン・デイの“ノウ・ユア・エネミー”とマッシュアップされた“part of it all”だった！　とにかく、FACTのライブを観るたびに思うことは、バンドのスケール感とヘヴィネスの成長ぶりに比例して、ポップさとポジティビティもどんどん大きくなっていることだ。



続く“this is the end”“error”と、全員を飛び跳ねさせるビートのタフさ、重厚なコーラスワーク、ゆったり歌いあげてもキャッチーなメロディと、どの武器もヘヴィ級であることを堂々と見せつけつつ、MCでは「来年は10-FEET先輩、一緒にやってください！」と唐突に謙虚な(？)ラブコール。もし実現したらエライことになるだろうな、それ。終盤は“fog”、“purple eyes”、“attack me if you dare”、そしてラストに“slip of the lip”という鉄壁の流れ。映像に挿入される「Oh-Oh-Oh-」という言葉に合わせて何度も合唱が巻き起こり、ジャンプし、フロアじゅうが揺れまくった。 “slip of the lip”のPVがスクリーン上に流れて、コーラスの大合唱でライブはフィナーレ。最後にギターのKazukiが「頑張ろうぜニッポン！ ありがとう！」と言い残してメンバーが去ると、気づけば40分余り、あっという間のステージだった。たが、会場には強烈な熱気と前向きなエネルギーが、余韻と共にいつまでも漂っていた。（松村耕太朗）



1 paradox
2 los angels
3 a fact of life
4 the shadow of envy
5 dec2
6 part of it all
7 this is the end
8 error
9 fog
10 purple eyes
11 attack me if you dare
12 slip of the lip