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『JAPAN JAM 2011』、2番目のスロットに登場したのはスガ シカオ! ファンクを日本語で、しかもメインストリームで成立させるべく、シーンの先頭に立ってきたキャリアを築いてきた彼だが、「みんな、元気かーい!」という言葉と共に冒頭を飾った"Progress"からして、豊穣なスケールのサウンドとしてクリアな日本語のメロディが広がる。≪世界中にあふれているため息と 君とぼくの甘酸っぱい挫折に捧ぐ…"あと一歩だけ、前に 進もう"≫というこの曲の言葉が、今の日本にはより大きな意味を持って響く。スガ シカオ自身もアコギを手にとって、瞬く間もなく畳み掛けられたのは"Party People"。アッパーなファンク・ビートが会場に歓喜を生んでいく。そして、そこで歌われるのは、≪100万回の"なぜ?"で答が出ないなら Party People 今 それをぶち壊そうぜ≫という言葉だ。今こそ歌うべき曲をスガ シカオはいつも書いてきたし、それは彼も充分に分かっているはずだ。



鮮やかなギター・カッティングと流麗なストリングスに乗って始まった"午後のパレード"を経て、最初のMC。「今日会場に入ってくるときに、受付の男の子に『Dragon Ashのメンバーさんですよね?』と間違われまして。怒髪天の増子です、って言おうかなと思ったんですけど、後で怒られるかもしれないと思ってやめました」などという話も披露しながら、ここからワシントン・ゴーゴー・ファンクに突入すると宣言。同じリズム同じBPMのまま、楽曲をどんどん繋いでいくこのスタイル、観客とのコール&レスポンスを挟みながら、最初に演奏されたのは"サヨナラホームラン"。非常に繊細で、しっとりしたメロディを持つ曲だが、その曲の根っこの部分に確かにファンクの遺伝子があるのが伝わってくる。そして、「俺はこの人の背中を見て、ファンクを追い続けてきました」という紹介と共にステージに登場したのは、ゲストの浜崎貴司! しかもホーンセクションの贅沢過ぎるサウンドに乗って、ステージに現れるなり歌いだしたのは"上を向いて歩こう"! 「ガンバレ! ニッポン!」と浜崎はステージに向かって語りかけたが、この曲を特別な思いで選んだのは明らかだろう。そして、次の曲のイントロが演奏されただけで、大きな歓声が上がる。FLYING KIDSの名曲"幸せであるように"。スガ シカオはハンドマイクで一緒に歌い、後半では自らギター・ソロまでをも披露。FLYING KIDSへの彼の思いが伝わってくる。続けて演奏されたのは、ライブでは定番の"炎(ファイヤー)"。そう、これもFLYING KIDSの楽曲だ。このワシントン・ゴーゴー・ファンクによるメドレーは、日本では決してメジャーとは言えないファンクという音楽を追い続けてきた2人が、その思いを受け渡し、交感するような、まさにそんな瞬間だったのだ。

スガ シカオも「自分でやって、こんなに濃いと思わなかった」と笑いながら、「ちょっと箸休めにまともな曲やります」と言って始まったのは、初期の大名曲"愛について"。≪すばらしく すばらしく 毎日が過ぎて 悲しみに出会う時は 涙を流そう≫という一節を持つこの曲だが、今の日本にとって特別な言葉を持つ曲が多かったこの日のセットリストのなかでも、この"愛について"からの最後の3曲は、その結晶だったと言える。どこにでもあるような家族の風景を通して日常の愛おしさを昇華させた"正義の味方"、そして、壮大なファンク・セッションを経て披露された"コノユビトマレ"。彼は常に八方塞がりな状況から目を背けることはなかったし、それは今も変わらない。そして、彼にとってファンクとは、ずっと前を向き続けるためのリズムとしてあった。その強さと輝きは、ただただ圧巻で、まぶしかった。(古川琢也)


◆スガ シカオ
ゲスト・アーティスト:浜崎貴司

1 Progress
2 Party people
3午後のパレード
4 Go!Go! Medley
 サヨナラホームラン
 上を向いて歩こうw/浜崎貴司
 幸せであるようにw/浜崎貴司
 炎(ファイヤー)w/浜崎貴司
5 愛について
6 正義の味方
7 コノユビトマレ